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2025年の崖をわかりやすく解説|何が問題か、何をすべきか

2025年の崖をわかりやすく解説|何が問題か、何をすべきか

DXの文脈で必ず登場するキーワードのひとつが「2025年の崖」です。言葉としては知っていても、「結局、何がどう問題なのか」「2025年を過ぎた今も関係あるのか」までは整理できていない方も多いのではないでしょうか。本記事では、2025年の崖とは何かをわかりやすく整理し、その原因、企業に起きる問題、2026年時点の現在地、そして今からすべきことまでを解説します。

2025年の崖とは?

2025年の崖とは、経済産業省が2018年9月に公表した「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」で示された警告です。老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システム(レガシーシステム)を放置したままでは、2025年以降に最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある、というシナリオを指します。

この12兆円という金額は、レポート公表時点の経済損失(およそ4兆円規模)の約3倍にあたります。損失が段差のように急増するイメージから「崖」と表現されました。

ひとことで言うと

「古いシステムを抱えたままだと、維持費と人材不足に足を取られ、DXが進まず競争力を失う」——これが2025年の崖の本質です。システム部門だけの問題ではなく、経営そのものの問題として提起された点が重要です。

なぜ「2025年」だったのか|3つの要因

2025年という年が名指しされたのは、複数の要因がこの時期に重なると見込まれたためです。

  1. 基幹システムの老朽化:2025年には、稼働から21年以上が経過した基幹系システムを使い続ける企業が約6割に達すると試算されました。長年の改修の積み重ねで全体像を把握できる人がいなくなり、ブラックボックス化が進みます。
  2. IT人材の不足と引退:経済産業省の調査では、2025年に最大約43万人、2030年に最大約79万人のIT人材が不足すると見込まれています。特にCOBOLなど旧世代の技術を扱える技術者の引退が、レガシーシステムの保守を直撃します。
  3. 主要システムのサポート終了:ERPをはじめとする主要製品の保守期限が2025年前後に集中すると見られていました。代表例であるSAP ERPの標準保守は後に延長され、現在は「2027年問題」として語られています。

何が問題なのか|放置した企業に起きること

DXレポートは、レガシーシステムを放置した場合に起こる問題を次のように整理しています。

  • 技術的負債でIT予算が食いつぶされる:維持管理費が高騰し、IT予算の9割以上が「今あるものを動かし続けるだけ」に消える状態になります。新しい取り組みに回す原資が残りません。
  • データを活用できずDXが進まない:部門ごとに分断されたシステムではデータを全社横断で使えず、市場の変化に合わせてビジネスモデルを素早く変えられません。
  • 障害・セキュリティリスクの増大:保守運用の担い手がいなくなることで、システムトラブルやデータ滅失、サイバー攻撃への対応力が落ちます。
  • 競争力の低下:デジタル前提の新規参入者にスピードで劣後し、価格や提供価値の面で追いつけなくなります。これが経済損失の中心的な内訳です。

2025年を過ぎた今、崖はどうなったのか

結論から言えば、崖は「終わった話」ではありません。基幹システムの更改やクラウド移行は一定程度進み、レガシーマイグレーション市場も拡大しました。一方で、各種調査では2026年時点でも6割前後の企業に依然としてレガシーシステムが残っていると報告されており、維持費の高騰やエンジニア不足はむしろ現実の課題として進行しています。

さらに指摘されているのが、「崖を回避できた企業」の新しい課題です。システム刷新そのものが目的化してしまい、DXレポートの本来のメッセージ——浮いた資源をデジタル技術による事業変革に投じること——が後回しになったケースが少なくありません。刷新はゴールではなく、スタートラインです。

何をすべきか|今から進める5つのステップ

  1. 現状を可視化する:まずはシステムの棚卸しから始めます。何がどこで動き、誰が保守し、いくらかかっているのか。経済産業省の「DX推進指標」を使えば、自社の立ち位置を客観的に自己診断できます。
  2. 仕分けをする:すべてを刷新する必要はありません。「廃棄する」「現状維持(塩漬け)にする」「刷新する」を業務価値とリスクの両面から仕分け、投資対象を絞り込みます。
  3. 経営として目的を定義する:「システムを新しくする」ではなく「何を実現するために変えるのか」を経営が言語化します。ここが曖昧なままだと、刷新後にDXが止まります。
  4. 標準機能に業務を合わせる:過剰なカスタマイズは次のレガシーを生みます。クラウド型ERPなどの標準機能に業務を寄せる「Fit to Standard」の発想が、短期導入と将来の保守負荷軽減の両方に効きます。
  5. 人材と効果測定を仕込む:推進人材の育成・確保とあわせて、刷新の効果をKPIで追える状態にします。維持管理費の比率や、データ活用による意思決定スピードの変化を継続的に測りましょう。

よくある質問

2027年問題との違いは?

2025年の崖が「日本企業全体のDXの遅れ」という広い問題を指すのに対し、2027年問題はSAP ERPの標準保守終了という個別のサポート期限を指します。2027年問題は、2025年の崖を構成する要因のひとつが具体化したもの、と捉えるとわかりやすいでしょう。

中小企業にも関係ありますか?

関係します。大規模なERPを持たない企業でも、Excelや個別ツールに散在したデータが連携できない状態は、実質的に同じ問題を抱えています。法改正のたびに改修費がかさむ、担当者が辞めると誰も触れない、といった兆候があれば、すでに崖の影響下にあると考えてよいでしょう。

12兆円という数字は信用できますか?

あくまで前提を置いた試算であり、金額の精度を巡っては専門家から批判もあります。重要なのは金額そのものではなく、「維持費の高騰」「人材の枯渇」「データが使えない」という3つの構造的な問題が実在する、という点です。

まとめ

2025年の崖とは、経済産業省が2018年のDXレポートで警告した、レガシーシステムの放置により2025年以降に最大12兆円/年の経済損失が生じるというシナリオです。背景には、基幹システムの老朽化、IT人材の不足、サポート終了の集中という3つの要因がありました。2026年を迎えた現在も多くの企業にレガシーが残り、問題は現在進行形です。まずは自社のシステムを棚卸しし、「何を捨て、何を残し、何を刷新するか」を仕分けるところから始めてみましょう。刷新そのものではなく、その先の事業変革に資源を振り向けることが、崖を本当に乗り越えるということです。

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