ブログ一覧へ戻る

ABC分析とは?累積構成比の計算・分類例と使い方

ABC分析とは?意味・計算方法と、チームで継続的に改善する効果測定の進め方

ABC分析は、商品・顧客などを評価値の大きい順に並べ、構成比と累積構成比でA・B・Cに分け、管理の優先順位を考える方法です。先に対象、集計期間、評価値、分類閾値、境界をまたぐ項目の扱いを決めると、再現できる表になります。

Aが必ず優良、Cが必ず不要という意味ではありません。売上・粗利・数量のどれで分類したかによって順位は変わります。以下では10品目の架空売上を使い、計算と判断を分けて説明します。

何を優先したいかで評価値を選ぶ

OracleのABC分析の概念説明では、選んだ基準に基づいて品目の相対価値を順位付けします。目的に合う指標を選び、同じ期間と対象で集計することが出発点です。

判断したいこと

評価値の例

一緒に確認する条件

売上の集中

対象期間の純売上

値引き・返品・利益の違い

採算の集中

定義をそろえた粗利・貢献額

費用範囲、負値、配賦

数量の集中

出荷数・販売数

単価、返品、重要部品

在庫上の優先順位

在庫価額・年間使用価額等

需要変動、リードタイム、欠品損失

在庫価額や出荷数量だけでは在庫効率は分かりません。回転、欠品、資金拘束等を別に見ます。顧客の新しさ・頻度・金額などを知りたい場合も、ABCだけでなくRFM・LTV等の顧客分析を組み合わせます。

ABCの呼び名には、費用を活動へ配賦するactivity-based costingという別の手法もあります。この記事は、累積構成比で優先順位を分類するABC分析を扱います。

10品目の売上から構成比と累積構成比を計算する

以下は円建て・税抜き、同一期間の架空データです。10品目の純売上合計は1000万円で、すべて正の値とします。値引き・返品をどう反映するかは売上と利益の定義に合わせて固定します。

構成比=各品目の売上÷対象全体の売上。累積構成比=降順に並べた構成比を上から足した値です。品目1は300万÷1000万=30%、品目2までの累積は30%+22%=52%になります。

品目

売上

構成比

累積構成比

区分

1

300万円

30%

30%

A

2

220万円

22%

52%

A

3

160万円

16%

68%

A

4

100万円

10%

78%

A

5

70万円

7%

85%

B

6

50万円

5%

90%

B

7

40万円

4%

94%

C

8

30万円

3%

97%

C

9

20万円

2%

99%

C

10

10万円

1%

100%

C

合計

1000万円

100%

—

A78%/B12%/C10%

全対象を漏れなく含め、分母が正なら未丸めの構成比合計は100%です。ただし表示を丸めた合計は99.9%等になる場合があります。全0、負値、欠損を含む場合は、通常の降順・累積表をそのまま作らず、データと目的を確認します。

境界をまたぐ品目をどう分類するか

閾値70%・90%を使う場合でも、品目3の累積68%から品目4の78%へ飛ぶときの扱いが必要です。MicrosoftのABC分析の説明も閾値を設定可能な条件として扱っており、唯一の普遍的な割合ではありません。

この表のルールは「その品目を加える前」の累積値で判定します。追加前が70%未満ならA、70%以上90%未満ならB、90%以上ならCです。初めて境界を超える品目は上位群に含めます。そのため品目4はA、品目6はB、品目7はCとなります。

  • A:4品目、売上780万円、全体の78%。
  • B:2品目、売上120万円、全体の12%。
  • C:4品目、売上100万円、全体の10%。

追加後の累積値で分類する方式なら、品目4をBとしてAを68%にすることもできます。計算の誤りというより分類ルールの選択です。表・数式・説明を同じ方式にそろえ、同額品目は固定キーで並べるか同一群にまとめるかも記録します。

80/20という考え方は集中を見る参考ですが、上位20%の品目が必ず売上80%を生むという保証ではありません。80/15/5等の区分も、データと管理目的に合わせて決めます。

Excelで同じ表を再現する手順

  1. 品目と対象売上を取り込み、ID重複、期間、返品、欠損を確認する。
  2. 売上を降順に並べる。同額時の並び順を固定する。
  3. B1を売上の見出し、B2:B11を円単位の売上として、C2に構成比を入れる。
  4. D列に累積構成比、E列に区分を作り、10行へコピーする。
  5. 金額合計、構成比合計、境界行を手計算と照合する。

構成比の式はC2=B2/SUM($B$2:$B$11)、累積構成比はD2=SUM($C$2:C2)です。C列・D列はパーセント表示にし、表示桁を丸めても元の計算値を残します。

区分の式はE2=IF(SUM($B$1:B1)<SUM($B$2:$B$11)*70%,"A",IF(SUM($B$1:B1)<SUM($B$2:$B$11)*90%,"B","C"))です。SUMはB1の文字見出しを無視し、当該行より前の売上合計で判定します。行を下へコピーすると、その行の直前までの金額が対象になります。

累積比率から当該比率を引いた差や、表示用に丸めた割合を分類に使わず、元の金額へ閾値を適用しています。全売上0のデータでは構成比を計算せず、エラーを0%で隠さないようにします。カテゴリと金額の列からExcelのパレート図を作ると集中を可視化できますが、境界ルールは表の注記にも残します。

区分を施策に使い、例外を残す

状態・区分

確認すること

判断の例

A:影響が大きい

粗利、需要変動、供給制約

頻度を上げて欠品・採算を確認

B:中間

成長性、対象、改善の根拠

仮説を絞り試行。A昇格だけを成果にしない

C:下位

重要部品、補完商品、新商品

自動廃止せず例外と維持条件を記録

負値・全0・欠損

返品、損失、データ不備

通常の累積比率表から分けて確認

同額・境界

固定の並び順と横断品目ルール

毎回同じ分類方式を使う

Aに安全在庫を増やせばよいとは限りません。需要変動、調達リードタイム、欠品損失、保管費を確認します。Cの補完商品や重要部品をなくすと、Aの販売に影響することもあります。新商品も観測期間が短いだけで下位になるため、成熟品と同じ基準で切らないようにします。

採算を見るときは費用分類と配賦、顧客価値を見るときはLTVとCACへつなげます。売上上位の維持にかかる対応費も含め、低採算の理由を確認してください。

更新はランクより絶対値と条件を確認する

Aへ昇格しても、他品目の売上が落ちただけかもしれません。対象・期間・評価値・閾値を固定した比較を残し、売上、粗利、欠品、在庫資金、対応工数などの絶対値も確認します。前後差だけで施策の因果効果は確定しません。

運用記録は「対象/指標/期間/閾値/分類方式/例外/担当/施策/判定日」を一組にします。Xtrategyの確認済みCRM情報や施策費用の管理機能を検討する際も、分類結果の意味と実行の担当を明確にしてください。機能一覧で確認できる範囲を使い、ABC自動分類や在庫最適化を前提にしないようにします。

ブログ一覧へ戻る