ブログ一覧へ戻る

ExcelでできるABC分析のやり方|関数・グラフの作成手順

与謝秀作

ExcelでできるABC分析のやり方|関数・グラフの作成手順

ABC分析は専用ツールがなくても、使い慣れたExcel(エクセル)だけで十分に実践できます。

この記事では、ExcelでABC分析を行う手順を、関数の使い方からパレート図の作成まで、順を追って解説します。並べ替え・累積構成比の計算・IF関数でのランク付け・グラフ化という流れを押さえれば、誰でも自分のデータでABC分析表を作れるようになります。

ABC分析とは(おさらい)

ABC分析とは、商品や顧客を売上などの貢献度に応じてA・B・Cの3ランクに分類し、重点的に管理すべき対象を見極める手法です。「上位2割の商品が売上の8割を生む」というパレートの法則を実務に応用したものです。

ランク分けの一般的な基準は、累積構成比を使って次のように設定します。

  • Aランク:累積構成比 0〜70%。売上の大半を占める主力
  • Bランク:累積構成比 70〜90%。中位の商品
  • Cランク:累積構成比 90〜100%。貢献の小さい商品

この基準(70%・90%)は目安であり、扱う商材や方針に応じて調整して構いません。Excelで作っておけば、しきい値を変えてもすぐ再計算できます。

Excelで作るABC分析の手順

ここからは、商品ごとの売上データを例に、実際の作成手順を5ステップで説明します。次のような表が手元にある前提で進めます(A列=商品名、B列=売上)。

ステップ1:売上の多い順に並べ替える

まず、売上(B列)を降順に並べ替えます。データ範囲を選択し、「データ」タブ →「並べ替え」で、売上を基準に大きい順を指定します。ABC分析は構成比の高い順に積み上げるため、この並べ替えが出発点になります。

ステップ2:構成比を計算する

C列に各商品の構成比(全体に占める割合)を求めます。売上合計に対する各行の割合を出す式は次のとおりです。

=B2/SUM($B$2:$B$100)

分母の合計範囲は、$をつけて絶対参照にするのがポイントです。これで下方向にコピーしても合計範囲がずれません。セルの表示形式をパーセントにしておくと見やすくなります。

ステップ3:累積構成比を計算する

D列に、上から順に構成比を足し上げた累積構成比を求めます。1行目だけ構成比そのまま、2行目以降は「ひとつ上の累積+自分の構成比」とします。2行目(D3)に入れる式の例は次のとおりです。

=D2+C3

先頭セル(D2)には「=C2」と入れ、D3以降に上の式をコピーします。最終行が100%になっていれば計算は正しくできています。

ステップ4:IF関数でA・B・Cランクを判定する

E列に、累積構成比をもとにランクを自動で振ります。IF関数を入れ子にして、しきい値(70%・90%)で判定します。E2に入れる式の例は次のとおりです。

=IF(D2<=70%,"A",IF(D2<=90%,"B","C"))

この式は、累積構成比が70%以下ならA、90%以下ならB、それ以外はCを返します。しきい値を変えたいときは、式の70%・90%の数値を直すだけです。IFS関数が使える環境なら、より読みやすく書くこともできます。

ステップ5:見やすく整える

  • ランク列に条件付き書式を設定し、A・B・Cで色分けすると一目で把握できる
  • 構成比・累積構成比はパーセント表示にそろえる
  • 後で基準を変えたくなることが多いので、70%・90%のしきい値は別セルに置き、式から参照する形にしておくと便利

ABC分析グラフ(パレート図)の作り方

数字だけでなく、パレート図(棒グラフと累積構成比の折れ線を重ねたグラフ)にすると、どこまでがAランクかが視覚的に分かります。Excelのバージョンによって作り方が2通りあります。

方法1:パレート図(Excel 2016以降)

  1. 商品名と売上の2列を選択する
  2. 「挿入」タブ →「統計グラフの挿入」→「パレート図」を選ぶ
  3. 棒グラフと累積線が自動で描画される

この方法は最も手軽ですが、累積線のしきい値表示など細かい調整には向きません。

方法2:複合グラフで自作する

  1. 商品名・売上・累積構成比の列を選択する
  2. 「挿入」→「複合グラフ」を選び、売上を「集合縦棒」、累積構成比を「折れ線(第2軸)」に設定する
  3. 第2軸(累積構成比)の最大値を100%に固定すると見やすい
  4. 必要なら70%・90%の補助線を追加してA・B・Cの境界を示す

自作の複合グラフは手間がかかる分、見せ方を自由に調整できます。レポートで境界を明示したいときに向いています。

テンプレート化して使い回すコツ

一度作った表は、テンプレートとして保存しておくと次回以降がぐっと楽になります。運用しやすくするポイントは次のとおりです。

  • 数式は残してデータだけ差し替える:構成比・累積構成比・IF判定の列は式のままにし、商品名と売上だけ入れ替える
  • しきい値をパラメータ化する:70%・90%を入力セルにまとめ、式から参照しておけば基準変更が一瞬で済む
  • 合計範囲に余裕を持たせる:SUMの範囲を広めに取っておくと、行が増えても式の修正が不要

Excelでやるときの注意点

  • 並べ替えを忘れない:降順に並べ替えていないと累積構成比が意味をなさず、ランクも正しく出ない
  • 絶対参照を使う:合計範囲やしきい値セルは$で固定しないと、コピー時にずれて誤計算になる
  • データ更新後は再計算と再並べ替え:売上を更新したら、並べ替えからやり直す習慣をつける

まとめ

ExcelでのABC分析は、①売上の降順に並べ替え、②構成比を計算、③累積構成比を計算、④IF関数でランク判定、⑤パレート図で可視化、という流れで誰でも実践できます。

一度テンプレートを作ってしまえば、データを差し替えるだけで毎月の分析が回せます。まずは手元の売上データで、構成比と累積構成比の2列を足すところから始めてみてください。

ブログ一覧へ戻る