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広告予算の配分の決め方|チャネル別の比率と見直しの基準

与謝秀作

広告予算の総額が決まったあと、その中をどう割るかで悩むことになります。検索とディスプレイの比率、新規とリターゲティングの割合、媒体を分けるか集中させるか。この記事では、広告予算という枠の中での配分を、入札型ならではの制約も含めて整理します。

広告予算には固有の制約がある

他の施策と違って、広告は予算を動かすこと自体にコストがかかります。配分を考える前に、この前提を押さえておく必要があります。

予算を増やしても成果は比例しない

入札型の広告では、予算を倍にしても獲得が倍になりません。反応の良い層から順に探しに行く仕組みのため、予算を伸ばすほどCPAは上がっていきます。

つまり、成果の出ているキャンペーンに予算を寄せる判断は、どこかで頃合いになります。良いキャンペーンに全額寄せるという発想は、広告では成立しません。

小さすぎる予算は機能しない

逆に下限もあります。自動入札を使う場合、一定量のデータが集まらないと最適化が進みません。

予算を細かく分けすぎると、すべてのキャンペーンが学習不足のままになります。分ける数を決めるときは、各キャンペーンが成果を判定できるだけの予算を持てるかを見てください。

頻繁な変更はマイナスに働く

予算を大きく動かすと、自動入札の学習が一度リセットされます。週単位で配分を変えていると、常に学習中の状態が続きます。

広告予算の配分は、月単位で見直すのが現実的です。日次で見るのは消化ペースと異常値だけで十分です。

最初に分ける3つの枠

媒体やキャンペーンで分ける前に、役割で分けます。

取りこぼし枠

すでに自社を知っている人、または購入意思が固まっている人を拾う枠です。指名検索とリターゲティングがここに入ります。

CPAは最も良くなりますが、伸びしろは限られます。指名検索を増やしたくても、広告では増やせないからです。

新規探索枠

まだ自社を知らない層に届ける枠です。一般キーワードの検索広告、ディスプレイ、SNS広告が該当します。

CPAは悪くなりますが、ここを絞ると取りこぼし枠の母集団が枯れます。数ヶ月後に効いてくる枠と考えてください。

検証枠

新しい媒体やターゲティングを試す枠です。成果を期待するというより、判断材料を買うための予算です。

比率の目安

事業フェーズで変わりますが、目安は次のとおりです。

  • 立ち上げ期:取りこぼし3割、新規探索5割、検証2割
  • 拡大期:取りこぼし4割、新規探索4割、検証2割
  • 成熟期:取りこぼし5割、新規探索3割、検証2割

検証枠をゼロにすると、来年使える選択肢が増えません。どのフェーズでも2割前後は残すことを推奨します。

指名検索にいくら使うか

広告予算の配分で、最も議論になるテーマです。

指名検索のCPAは圧倒的に良いため、数字だけ見ていると予算を寄せたくなります。しかしこの層は、広告がなくても自然検索から来ていた可能性があります。

判断基準は2つ

  • 競合が入札しているか:自社名で検索したときに競合広告が出るなら、防衛のために必要です
  • 自然検索で上位にいるか:自社名で確実に1位なら、広告の上乗せ効果は小さくなります

確かめる方法は単純です。指名キャンペーンを1週間止めてみて、全体のCV数がどれだけ落ちるかを見ます。ほとんど変わらなければ、その予算は他に回せます。

媒体を分けるか集中させるか

複数媒体に分散するとリスクは下がりますが、いいことばかりではありません。

媒体を増やすと、運用の手間とクリエイティブ制作の工数が増えます。予算が分散して各媒体の学習が進まない問題も起きます。

分散すべきケース

単一媒体への依存度が高すぎると、仕様変更や入札環境の悪化で一気に成果が落ちます。主力媒体が全体の7割を超えているなら、分散を検討する目安です。

集中させるべきケース

予算総額が小さい場合は、分散させるとどの媒体も中途半端になります。まず1媒体で成功パターンを作ってから広げる順序が安全です。

見直しの基準

月次で見るときは、次の基準で判断します。

減らす基準

CPAが目標の1.5倍を超えた状態が2ヶ月続いたら、配分を下げます。1ヶ月で判断しないのは、季節変動や一時的な入札環境の悪化と区別できないからです。

増やす基準

増やす側はもう少し慎重に見ます。CPAが良いだけでは不十分で、予算を使い切っているかを確認してください。

予算が余っているのにCPAが良い場合、増額しても配信が伸びない可能性があります。このときは予算ではなく、ターゲティングの拡大か入札の見直しが先です。

一度に動かす幅

自動入札を使っている場合、一度に動かすのは2割までに押さえます。大幅な変更は学習のやり直しを招き、数週間成果が不安定になります。

大きく変えたいときは、月をまたいで段階的に寄せていくのが確実です。

よくある質問

Q. リターゲティングにどれだけ割くべきですか

流入量で上限が決まります。サイトへの訪問者が少なければ、予算を増やしても配信先がありません。同じ人に何度も表示されるだけで、煩わしさにもつながります。新規探索枠を先に伸ばして、母集団を増やす順序にしてください。

Q. 季節変動はどう扱いますか

年間予算を12等分すると、需要期に予算が足りなくなります。前年の月別CV数の比率を使って、あらかじめ山を作っておいてください。この調整をしているかどうかで、年間の獲得数は相当変わります。

Q. 代理店に任せている場合は

3つの枠の比率だけは自社で決めてください。キャンペーン内部の調整は任せても、取りこぼしと新規探索のバランスは事業側の判断です。ここを渡すと、CPAが良い方向に自然に寄っていきます。

Q. 検証枠で何を見ればよいですか

CPAで判定しないことです。新しい媒体は最初のCPAが悪くて当然です。見るべきは、想定した層に届いているか、クリック後の行動が既存媒体と違わないかです。2ヶ月見てからCPAの話をしてください。

配分を判断するために

広告予算の配分を判断するには、各媒体の管理画面を往復するだけでは足りません。媒体をまたいだ使用額と成果を並べて、全体として予算枠に収まっているかを見る必要があります。

Xtrategyでは、施策のスケジュールと予算・KPIを同一画面で管理できます。媒体ごとの消化ペースを横断して見れば、月末になってから予算超過に気づく事態を防げます。

まとめ

  • 広告は入札型なので、予算を増やしても成果は比例しない
  • 媒体で分ける前に、取りこぼし・新規探索・検証の3枠で分ける
  • 検証枠はどのフェーズでも2割前後残す
  • 指名検索は、1週間止めてCV数の変化を見れば必要性が判定できる
  • 主力媒体が7割を超えたら分散を検討する
  • 一度に動かすのは2割まで。大幅な変更は学習を崩す

広告予算の配分で最も効くのは、3つの枠の比率を先に決めてしまうことです。まずは現在の出稿を取りこぼし・新規探索・検証に分けて、比率を出してみてください。偏りが見えるはずです。

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