アドボカシーとは?「顧客による推奨」と「顧客のための支援」を分ける

アドボカシーは支持や提唱を表す言葉です。マーケティングでは、顧客がブランドを推奨する意味と、企業が顧客の利益を支える意味を分けると理解しやすくなります。「誰が、誰のために、何をしているか」を明らかにすることが出発点です。この記事では、二つの向きと、意向・行動・成果の記録の違いを説明します。
1.誰が誰を支えるかで読む
Cambridge Dictionaryのadvocacyの語義には、考えや計画等への支持があります。政策や社会的な活動でも使われるため、マーケティング専用の言葉ではありません。顧客の話をするときも、推奨する側と支援される側を省くと意味が曖昧になります。
「顧客アドボカシーを強化する」と書く代わりに、「顧客が体験を伝えたいときの協力を整える」のか、「企業が顧客の判断に必要な情報を提供する」のかを記します。両方に取り組むことはできますが、同じ活動件数へまとめないようにします。
2.顧客の推奨と企業の顧客支援を分ける
顧客による推奨は、自分の経験を伝えたり、合いそうな相手へ紹介したりする行動です。一方、企業が顧客のために支援する場合は、用途に合う選択肢や制約を説明し、判断を助けます。単なる問い合わせ窓口の有無より広い考え方です。
向き | 行動例 | 確認する証拠 | 混同しないこと |
|---|---|---|---|
顧客→ブランド | 利用経験を共有する | 本人の発言・許可された掲載 | 回答した意向と公開行動 |
企業→顧客 | 用途に合う選択肢を説明する | 説明内容と顧客の判断 | 売りたい商品だけの推薦 |
人や組織→考え・活動 | 理念への支持を表明する | 表明や活動の内容 | すべてを購買推奨と扱うこと |
Glen L. Urbanの2004年の論考の公開要旨は、企業が顧客の利益を支える意味のcustomer advocacyを述べています。ここでは二つ目の向きを理解する参考として用います。顧客を支援すれば必ず推奨や再購入で報われるという因果保証ではありません。
3.人・推奨意向・実際の行動を区別する
アドボケイトは支持・推奨する人を指す言葉で、アドボカシーは支持する活動や考え方を表します。NPSで高い推奨意向を回答したこと、体験談を公開したこと、友人を紹介したことはそれぞれ別の証拠です。「勧めたい」と答えた人を実際の紹介者数に数えません。
また、満足した顧客が必ずロイヤルユーザーになり、必ず発信するという順序はありません。使い続けたいが発信したくない人、紹介する機会がない人もいます。顧客の関係を理解する資料には、意向と行動の項目を分け、確認できない部分を残します。
4.顧客の判断を支えるときは利害関係も示す
企業が勧める案は、顧客に役立つことと企業の売上が一致する場合も、ずれる場合もあります。用途、条件、できないこと、費用などを説明し、別の選択肢が適切ならその理由も伝えると、顧客は判断しやすくなります。「顧客のため」と言うだけで、説明の偏りがなくなるわけではありません。
顧客の体験談を紹介する場合も、依頼や謝礼等の関係を読み手が分かる形にし、本人が話していない効果を加えません。有償であることだけで推奨行動が存在しないとは言えませんが、自然に出た声と依頼した声を同じ条件として扱わないことが大切です。掲載範囲と文章の確認を別に行います。
5.架空例で支援・意向・紹介を記録する
架空のサービスA社で、小規模チームの顧客が上位プランを検討しているとします。担当者は必要な使い方を確認し、基本プランでも足りる範囲と上位プランが必要な条件を説明しました。これは顧客の判断を支える行動の例です。その後の紹介や継続は、この説明だけから推測できません。
段階 | 架空の記録例 | 確認できたこと | 未確認のこと |
|---|---|---|---|
意思決定の支援 | 用途と両プランの条件を説明 | 説明を行った内容 | 顧客が理解したか |
推奨意向 | 後日の質問で高い意向を回答 | 回答時点の意向 | 実際の推奨行動 |
体験談 | 本人が文面を確認し掲載へ同意 | 合意した範囲の公開 | 閲覧者の判断や利用 |
紹介 | 本人から相手への紹介を確認 | 定義した紹介行動 | 紹介先の価値や継続 |
この表は一人が必ず進む段階を示すものではありません。記録を分けるための架空例です。紹介先が登録した場合も、利用価値を得たか、継続したかは別に確かめます。「支援した」「推奨した」「成果が出た」を一つの数字にすると、まだ起きていない変化を成果として報告しやすくなります。
例えば同じ人が体験談を1本公開し、紹介も1件行ったなら、二つの行動は確認できますが、推奨した人が2人いたとは言えません。人数を報告するには同じ人の重複を除き、どの活動を対象にしたかを決めます。掲載回数や紹介件数を足す場合も、単位を「人」に変えないようにします。
6.依頼の前に対応と評価を整える
推奨を依頼するなら、顧客が参加を断れること、何に協力するかを理解できること、疑問への連絡先があることを確認します。不満や未解決の問題がある人へ、好意的な発信を求める前にその問題への対応を進めます。紹介する相手に合う内容かを本人が判断できることも重要です。
評価は、顧客に役立つ説明ができたか、許可された発信があったか、確認できた紹介があったかを分けます。費用がかかった場合は運営や対応も含めて記録します。顧客の支援とブランドへの推奨をそれぞれ具体化すると、活動の目的と次に確認することが明確になります。
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