バーチャート工程表とは?書き方とメリット・デメリット

工程表を作ろうとすると、バーチャート、ネットワーク、曲線式と複数の形式が出てきます。この中で最も広く使われているのがバーチャートですが、得意なことと苦手なことがはっきりしています。この記事では、バーチャート工程表の特徴を、他の形式との比較から整理します。
バーチャート工程表とは
縦軸に作業を並べ、横軸に日付を取って、各作業の期間を横棒で表した工程表です。建設業で広く使われ、横棒グラフの形に似ていることからこの名前がついています。
IT業界やマーケティングの現場でガントチャートと呼ばれているものと、基本的に同じ形式です。業界によって呼び名が違うと考えて問題ありません。
なぜ最も普及しているのか
説明なしで読めるからです。横棒の左端が開始、右端が終了。これだけ分かれば、初めて見る人でも内容を把握できます。
工程表は、描いた人だけでなく現場の作業者、発注者、協力会社と、立場の違う人が見ます。読み方の講習が必要な図は、その時点で使われなくなります。
3つの工程表の違い
バーチャートの特徴は、他の2形式と並べるとはっきりします。
バーチャート工程表
分かるのは、どの作業がいつからいつまでかです。作業の内容と期間を直感的に伝えられます。
分からないのは、作業同士のつながりです。ある作業が遅れたとき、どの作業に影響が及ぶのかが図からは読み取れません。
ネットワーク工程表
作業を矢印でつないで、前後関係を表す形式です。どの作業が終わらないと次に進めないかが明示されます。
最大の利点は、全体の工期を決めている経路が見えることです。この経路上の作業が1日遅れれば、全体も必ず1日遅れます。逆にそれ以外の作業には余裕があると分かります。
欠点は、読むのに慣れが必要なことです。また、作業量や日付の感覚はバーチャートほど直感的に伝わりません。
曲線式工程表
横軸に時間、縦軸に進捗率を取って、全体の進みを曲線で表す形式です。バナナ曲線と呼ばれる上下の限界線を添える形もあります。
全体が予定より進んでいるか遅れているかは一目で分かりますが、個別の作業がどうなっているかは見えません。単体ではなく、バーチャートと併用されることが多い形式です。
バーチャートのメリット
- 説明なしで伝わる:読み方の教育が不要で、関係者全員で共有できる
- 作成が早い:作業と期間を並べるだけでできる。表計算ソフトでも十分作れる
- 日付の感覚が掴める:カレンダーと直接対応するので、繁忙期や連休の影響も見える
- 進捗を重ねやすい:予定のバーの下に実績のバーを並べれば、そのまま実績管理に使える
実務で大きいのは1つ目です。どれだけ情報量の多い図を描いても、読めなければ共有されません。
バーチャートのデメリット
依存関係が表せない
最大の弱点です。バーが横に並んでいても、それが「前の作業が終わらないと始められない」のか「たまたまその順に並んでいる」だけなのか、図からは分かりません。
この差は、遅れが発生したときに決定的になります。前後関係がある作業なら後ろすべてが引っ張られますが、無関係なら影響はその行だけで止まります。
重要度の差が見えない
すべての作業が同じ形の棒で描かれるため、全体の工期を左右する作業と、多少遅れても問題ない作業が区別できません。結果として、どこに人を寄せるべきかの判断がつきにくくなります。
変更の反映が手作業になりやすい
依存関係を持っていないので、1つの作業を後ろにずらしたとき、後続を自分で全部直すことになります。作業数が多いほど、この手間は積み上がります。
弱点を補う方法
形式を乗り換えなくても、バーチャートのままでできる工夫があります。
重要な依存関係だけ矢印で足す
すべてのつながりを描くとネットワーク工程表になってしまい、バーチャートの利点が失われます。「ここが遅れたら全体が止まる」という箇所に限って、数本だけ矢印を引いてください。
マイルストーンを置く
「この日までにここまで終わっていないと危ない」という節目を、縦線や◆の記号で入れます。重要度の差が見えないという弱点を、これで部分的に補えます。
余裕のある作業を色で分ける
工期を左右する作業と、多少後ろにずらせる作業を、バーの色で区別します。2色だけでも、遅れが出たときの判断が早くなります。
作成時の判断ポイント
作業の粒度を揃える
1枚の中で、「基礎工事」と「図面の押印をもらう」が並んでいると読みにくくなります。目安として、最も短いバーと最も長いバーの差が10倍以内に収まるとバランスが取れます。
行の並べ方を決める
開始日の早い順に並べるのが基本です。バーが左上から右下へ流れる形になり、全体の進行が流れとして見えます。
業者別や工種別に並べる方法もありますが、この場合は上下にバーが散らばるため、全体の流れが追いにくくなります。どちらを優先するかを決めてください。
余裕をどこに入れるか
各作業に少しずつ余裕を乗せると、合計で大きなバッファになり、しかも各作業がその余裕を使い切ってしまいます。工程の区切りごとにまとめて余裕を置くほうが、結果として短い工期になります。
どの形式を選ぶか
判断の目安を整理します。
- バーチャート:作業数が多くない、依存関係が単純、多くの人に共有する
- ネットワーク:依存関係が複雑、工期短縮を検討している、遅延の影響を見たい
- 曲線式:全体の進捗を経営層に報告する、長期の推移を見たい
実務では、バーチャートを基本として、必要に応じて他の形式を足す形が多くなります。見積もり時にネットワークで工期を検討し、日々の管理はバーチャートで行うといった使い分けです。
よくある質問
Q. ガントチャートとは違うものですか
基本的に同じものです。建設業ではバーチャート工程表、ITや一般のプロジェクト管理ではガントチャートと呼ばれる傾向があります。ツールによってはガントチャートに依存関係の矢印を描けるものもあり、その場合はネットワークの性質を兼ねます。
Q. 何行までならバーチャートで回りますか
行数よりも、依存関係の複雑さで決まります。作業が順番に並んでいるだけなら、50行あってもバーチャートで十分です。逆に20行でも、並行する作業が複雑に絡み合うならネットワークを検討する価値があります。
Q. 建設業以外でも使えますか
使えます。作業と期間が洗い出せるプロジェクトなら、業種を問いません。イベント運営、サイト制作、商品開発などの現場でも同じ形式が使われています。
Q. 予定と実績をどう並べますか
同じ行の上下に2本並べる方法が一般的です。上が予定、下が実績として、色を変えます。行数が倍になるので、報告用には主要な工程だけに絞った版を別に作ると読みやすくなります。
形式を選んだあとに残ること
どの形式を選んでも、図は計画を表すだけです。実際の進捗と並べて初めて、管理の道具になります。描いたあとに更新されない工程表は、形式の選択に関係なく使われなくなります。
特に複数の案件を並行して見る立場では、案件ごとに工程表が分かれていると全体の危険箇所が把握できません。Xtrategyでは、施策のスケジュールと予算・KPIを同一画面で管理できます。
まとめ
- バーチャート工程表は、作業と期間を横棒で表す形式。ガントチャートと基本同じ
- 最大の利点は、説明なしで誰でも読めること
- 最大の弱点は、作業同士の依存関係が表せないこと
- 弱点は、重要な矢印を数本足す、マイルストーンを置く、色で分けるで補える
- 余裕は各作業に分散させず、工程の区切りごとにまとめて置く
- 依存関係が複雑ならネットワーク、全体の推移を見るなら曲線式を併用する
バーチャートが広く使われているのは、優れているからではなく、読む側の負担が小さいからです。弱点を知ったうえで、足りない部分を別の手段で補うという使い方が現実的です。