CACとCPAの違い|成果件数・新規顧客数と費用範囲をそろえる方法
与謝秀作

CACは新規顧客1人・1社を獲得する費用、CPAは定義した成果1件を得る費用です。広告で数える資料請求や登録が、そのまま新規有料顧客になるとは限りません。両者を比べるときは、費用の範囲に加えて、分母と集計の起点をそろえる必要があります。
最初に分子と分母を確認する
基本式は「CAC=対象獲得費用÷一意の新規顧客数」「CPA=対象費用÷対象成果件数」です。費用はどちらも分子です。CPAの成果には、購入、問い合わせ、資料請求などがあります。何を1件と数えたかを併記しないと、同じ名称でも比較できません。
項目 | CAC | CPA |
|---|---|---|
分母 | 一意の新規顧客数 | 定義した成果件数 |
費用範囲 | 媒体費のみ、または配賦済みの営業・制作費等を含む | 媒体レポートなら通常は対象広告費。範囲を確認 |
既存顧客の再購入 | 新規顧客数には含めない | 購入を成果とする設定では含まれうる |
主な用途 | 新規顧客の獲得採算 | 特定施策の成果獲得効率 |
Google広告の平均CPAは、コンバージョンに対応する費用をその件数で割る実績指標です。一方、StripeのSaaS向けCAC解説は、新規顧客と獲得費用の対応を扱っています。採用する企業のCAC定義が唯一の会計標準として決まっているわけではないため、費用と顧客の条件を文書化しましょう。
架空例:リードCPAをCACへつなぐ
ある成熟した獲得コホートの架空データを使います。媒体費は50万円、問い合わせは100件、対応に配賦した営業・マーケティング費は30万円です。問い合わせは重複除外済み、既存顧客を除いた新規有料顧客は20社とします。受注までの観測が終わった同じ集団を比べます。
段階・指標 | 計算 | 結果 | 含む費用 |
|---|---|---|---|
問い合わせCPA | 500,000円÷100件 | 5,000円/件 | 媒体費のみ |
問い合わせからの受注率 | 20社÷100件 | 20% | 費用指標ではない |
媒体費のみのCAC | 500,000円÷20社 | 25,000円/社 | 媒体費のみ |
拡張費用範囲のCAC | 800,000円÷20社 | 40,000円/社 | 媒体50万円+配賦費30万円 |
この条件なら、媒体費のみのCACは「リードCPA÷受注率」でも計算でき、5,000円÷0.2=25,000円です。ただし、広告成果に複数の種類を混ぜたり、別経路の顧客を受注率へ加えたりすると、この接続は崩れます。成果の重複・無効問い合わせ・取消も先に確認してください。
CPAが同じでもCACは変わる
同じ媒体費50万円、同じ問い合わせ100件でも、新規顧客が10社なら受注率は10%です。媒体費のみのCACは50,000円、営業等の配賦費30万円を含むCACは80,000円になります。問い合わせCPAは5,000円のままです。
ここでは営業等30万円を両ケース同額と仮定しました。顧客数に応じて営業費が変わる事業なら、その変化を別途反映します。CPAの低下だけを目標にすると、受注しにくいリードを増やしてCACが上がる場合もあります。逆に、少ないリードでも受注率や粗利が高ければ評価が変わります。
Paid・Organic・Blendedを混ぜない
広告経由だけのPaid CACと、全経路のBlended CACでは対象が違います。紹介や自然検索にも、人件費・制作費・紹介報酬等がかかります。チャネル別に顧客を重複帰属させた数を足すと、全体の新規顧客数とは一致しません。
まず全体の一意顧客数を確定し、チャネルへ割り当てるルールを記録します。費用台帳と配賦、加重集計の例はCACの費用範囲と集計方法で確認できます。
時間差と入札目標を点検する
- 成果の定義、集計回数、既存顧客の除外、取消の扱いを決める。
- 問い合わせが発生した群と、その群から受注した顧客を対応させる。
- 営業・制作・共通費をどこまで含めたか記録する。
- 受注が続く期間は暫定値とし、観測期限を報告する。
今月の広告費と今月の受注だけを比べると、前月以前の問い合わせからの受注が混ざることがあります。長期平均にすれば必ず正しくなるわけではありません。費用と顧客が対応する集計ルールを優先します。
なお、Google広告の目標CPA入札は平均CPAを目指して入札を調整する方式です。「成果が起きたときだけ課金される契約」を意味しません。報告指標・課金・入札の違いはCPC・CPM・CPAの比較とあわせて確認し、最後に有効顧客の価値と費用で判断しましょう。