キャンペーンの効果測定|チャネル別の指標設計と共通KPIの作り方
キャンペーンが終わって集計を始めると、チャネルごとの数字は出てくるのに、全体としてどうだったのかが言えない。SNSのリーチとメールの開封は足せませんし、チャネル別のCVを合計すると実際の件数を超えます。この記事では、キャンペーンをチャネル横断で評価するための指標設計を整理します。
チャネル別の数字は足せない
効果測定で最初にぶつかるのがここです。問題は3つに分かれます。
単位が違う
インプレッション、リーチ、開封数、セッション。どれも接触を表す数字ですが、意味する深さが違います。広告の表示1回と、メールを開いてもらうことを同じ重みで扱うことはできません。
重複している
同じ人がSNSで見て、検索で探して、メールから戻ってきて購入する。このとき各チャネルの管理画面を足し上げると、CV数は実態の何倍にもなります。
各ツールは自分の貢献を最大限に見せる設定になっています。悪意ではなく、他チャネルの接触を知らないからです。
時間軸が違う
検索広告は当日にCVが出ますが、記事やウェビナーの効果は数ヶ月後に現れます。キャンペーン期間で区切って集計すると、遅いチャネルは実力より低く見えます。
最初に決めるのは共通の分母
チャネルをまたいで比べるには、すべてのチャネルで同じ定義になる指標を一つ決めます。これが共通KPIの土台です。
候補になるのは、チャネルに依存しないユーザー側の行動です。
- ランディングページの到達:どのチャネルからでも、同じページに来たかどうかで数えられます
- 資料請求や問い合わせ:行動の重みがチャネルによらず一定です
- 購入・受注:最終成果なので、比較の土俵としては最も確実です
逆に、インプレッションやエンゲージメント率は共通KPIにできません。定義がプラットフォームごとに違うからです。
重複をどう扱うか
共通KPIを決めても、複数チャネルに接触した人をどう数えるかの問題が残ります。実務では3つのやり方があります。
最終接点に寄せる
CV直前のチャネルに全額を割り当てる方法です。集計が簡単で、合計が実態と一致します。
欠点は、認知を作ったチャネルの貢献がゼロになることです。この集計を続けると、指名検索とリターゲティングだけが評価され、上流の施策が切られていきます。
初回接点に寄せる
逆に、最初に出会ったチャネルに全額を割り当てます。新規獲得の貢献を見たいときに使えます。
ただし、最後の一押しをした施策が評価されなくなります。
両方を並べる
実務で最も現実的なのがこれです。初回接点基準と最終接点基準の2つの表を作り、並べて見ます。
両方で上位のチャネルは確実に効いています。初回だけ上位なら入口役、最終だけ上位なら背中を押す役と分かります。割り振りの精密さを追うより、役割の違いが見えることのほうが実用的です。
認知施策をどう評価するか
共通KPIをCVに置くと、認知施策は必ず不利になります。ここを放置すると、数字に出やすい施策だけが残ります。
対処は2つあります。
別の表で評価する
認知施策を獲得施策と同じ表に並べないことです。指名検索数の推移、サイトの直接流入数、新規訪問者比率といった、時間軸で見る指標で別管理します。
母集団の増減で見る
認知施策の仕事は、後段の施策が使える母集団を増やすことです。リターゲティングの配信可能数や、メールリストの純増数を見れば、貢献が数字で追えます。
この見方をしておくと、予算交渉で認知施策を守りやすくなります。
測れる状態を先に作る
どんなに良い指標を設計しても、計測ができていなければ意味がありません。キャンペーン開始前に揃えるべきことが2つあります。
キャンペーン名の命名規則
各チャネルのキャンペーン名がバラバラだと、後から同じ施策のものを集められません。
施策を識別するコードを先に決めて、すべてのチャネルで同じものを使ってください。広告のキャンペーン名、UTMパラメータ、メールの配信名、SNSの計測リンク。この4つが揃っていれば、集計の手間は大幅に減ります。
集計期間の定義
キャンペーン終了日で切ると、検討期間の長い商材では成果を取りこぼします。終了後何日までを含めるかを、開始前に決めておいてください。
目安は、過去の初回接触からCVまでの日数です。大半が30日以内に収まるなら、終了後30日を集計対象にすれば十分です。
よくある質問
Q. チャネル別CPAの合計が合いません
合いません。各ツールがCVを重複カウントしているため、チャネル別CPAを平均しても実態とずれます。全体のCPAは、総使用額÷実際のCV件数で別途計算してください。チャネル別のCPAは、チャネル間の相対比較に使うものと割り切ります。
Q. オフライン施策はどう含めますか
専用のURLや電話番号、クーポンコードを用意するのが基本です。それができない場合は、アンケートで「何で知ったか」を聞く方法があります。精度は下がりますが、ゼロになるよりは判断材料になります。
Q. 見るべき指標が多すぎて集計が終わりません
共通KPIを1つ、チャネル固有の指標を各2つまでに絞ってください。振り返りで実際に使われるのは、この程度の数です。集めたのに見ない数字があるなら、次回から落として構いません。
Q. 短期キャンペーンでも同じ考え方でいいですか
1週間程度の短期なら、最終接点基準だけで十分です。接触からCVまでの時間が短いため、重複の影響が小さいからです。複数ヶ月にわたるキャンペーンほど、初回接点も見る必要性が上がります。
集計に時間を取られないために
効果測定が形骸化する最大の原因は、集計に時間がかかりすぎることです。各ツールから数字を抜いて転記していると、レポートが出る頃には次の施策が始まっています。
Xtrategyでは、施策のスケジュールと予算・KPIを同一画面で管理できます。施策単位で使った金額と成果が紐づいていれば、振り返りの準備に時間を取られません。
まとめ
- チャネル別の数字は、単位・重複・時間軸の3点で足せない
- 共通KPIには、チャネルに依存しないユーザー行動を選ぶ
- 重複は、初回接点と最終接点の2つの表を並べて見る
- 認知施策は別の表で、母集団の増減で評価する
- 施策を識別するコードを先に決め、全チャネルで揃える
- 集計期間は、キャンペーン終了後どこまで含めるかを事前に決める
キャンペーンの効果測定で最も効くのは、開始前に命名規則を揃えておくことです。まずは次の施策から、全チャネルで同じコードを使うところから始めてみてください。