CMO着任90日でやること|最初の四半期で押さえる12の意思決定
マーケティングの責任者に就いた直後は、何から手をつけるかで迷います。新しい施策を始めたくなりますが、その前に決めるべきことがあります。この記事では、着任から90日で押さえる12の意思決定を、時期ごとに整理します。
なぜ90日か
区切りに意味があるのは、予算と目標が四半期で回っているからです。
最初の四半期を現状把握だけで終えると、次の予算編成に自分の判断を反映できません。前任が組んだ予算でもう一年進むことになります。
逆に、着任直後に大きく動かすのも危険です。何がうまくいっているのか分からないうちに、効いているものを止めてしまうことがあります。
第1〜30日:把握と初期判断
この期間は、決めることより知ることが中心になります。
1. 施策と金額を一覧にするか
最初の一週間で着手してください。現在動いているすべての施策を並べ、それぞれの使用額と成果を揃えます。
これをやらないと、すべての判断が伝聞になります。作業量は多いですが、ここを飛ばすと後の全工程が推測になります。
2. 誰に何を聞くか
順番があります。まず営業部門、次に経営、最後に自部門です。
営業には「マーケティングに何を期待しているか」を聞きます。ここで出てくる不満は、後の判断の材料になります。
自部門を後にするのは、先に聞くと現場の見方に引っ張られるからです。
3. 前任のやり方をいつまで踏襲するか
これを決めておかないと、いつまでも前任の設計で回ることになります。
目安は、現行の四半期が終わるまでです。その間は変えないと宣言しておくと、現場も落ち着いて引き継ぎができます。
4. 最初に止めるものを決めるか
一覧を作ると、明らかに惰性で続いているものが見つかります。
一つだけ止めてください。大きく変える必要はありませんが、止める判断ができる人が来たと伝わることに意味があります。
第31〜60日:方針の確定
現状が見えたあと、方向を決める期間です。
5. 今期の目標を何に置くか
獲得数を追うのか、単価を上げるのか、新しい層を開くのか。
これが決まらないと、以降の判断がすべて浮きます。予算配分も人の配置も、目標が決まってからの話です。
6. 予算配分を組み替えるか
期中なら、動かせる範囲は限られます。年間契約や押さえ済みの枠はすぐには動きません。
この段階では、今動かせる分と、次期の編成で変える分を分けてください。後者が多いのは自然です。
7. 人を増やすか、配置を変えるか
人を増やす判断は時間がかかるため、この時期に動き出す必要があります。
実行する人が足りないのか、判断できる人が足りないのかで、採るべき人が違います。現場からは常に前者の要望が上がりますが、両方足りないなら後者からです。
8. 外注の線を引き直すか
判断を伴う工程が外に出ていないかを確認してください。
代理店が予算配分を提案している状態は、実質的に判断を委ねています。ここは引き取る必要があります。
第61〜90日:仕組み化
決めたことを回る状態にする期間です。
9. 何を定例で見るか
見る指標を絞ってください。一つの表に並べるのは5つまでが目安です。
判断基準は、その数字が悪かったら何かを変えるかです。見ているだけで行動が変わらない数字は、参考情報に回します。
10. 未達時の手順を決めるか
未達が見つかってから対応を考え始めると、会議が長引きます。
未達の幅ごとに対応を決めておいてください。目標の9割以上なら経過観察、5〜9割なら担当が対策を持ち帰る、5割未満ならその場で施策の変更を検討する。
11. 経営会議で何を報告するか
施策の進捗を並べても、他の役員には判断できません。
報告の形式をこの時期に固めておくと、以降の説明が楽になります。使った金額と、それが何になったかを対にして並べる形です。
12. 90日目に何を報告するか
成果を報告するには早すぎます。施策を変えてから数字に出るまでには、さらに数ヶ月かかります。
報告すべきは、何を把握し、何を決め、何を残したかです。とくに、この先の判断の基準を提示すると、経営側も後の評価がしやすくなります。
やらないほうがよいこと
90日の間に手を出さないほうがよいこともあります。
- ツールの入れ替え:現行の問題が見える前に変えると、同じ問題を抱えます
- 大規模な人員入れ替え:誰が何をできるかを見定める前の判断は外れます
- 全面的なブランド見直し:時間と合意形成が必要で、90日では終わりません
いずれも、判断の材料が揃ってからで遅くありません。
よくある質問
Q. 早く成果を求められています
数字の改善を約束すると、短期で出やすい施策に寄ってしまいます。代わりに、いつまでに何を決めるかを提示してください。判断のスケジュールなら、着任直後でも約束できます。
Q. 前任がいない場合は
引き継ぎがない分、一覧作りに時間がかかります。契約書と請求書から逆引きするのが確実です。支払っている先を並べれば、何が動いているかは見えてきます。
Q. 現場からの抵抗があります
最初の30日は決めないと宣言しておくと、探り合いが減ります。いつから変えるのかが見えていれば、現場も準備できます。何も言わずにいきなり変えるのが、最も抵抗を生みます。
Q. 兼任で時間が取れません
12のうち、最低限なのは1・5・9・10の4つです。現状を把握し、目標を置き、見るものを決め、未達時の手順を決める。これだけでも、判断が回る状態にはなります。
最初の一週間を短くする
90日のうち、最初の一覧作りに何日かけるかで後の進みが変わります。施策ごとの使用額と成果が別の場所にあると、ここで二週間消えます。
Xtrategyでは、施策のスケジュールと予算・KPIを同一画面で管理できます。現状が一枚で見える状態になっていれば、着任直後から判断に入れます。
まとめ
- 90日の区切りは、次の予算編成に判断を間に合わせるため
- 最初の30日は把握。一覧作りを飛ばすと全工程が推測になる
- 聞く順番は、営業→経営→自部門
- 目標を置かない限り、予算も人員も決められない
- ツール入れ替えと大規模な人員変更は、90日ではやらない
- 90日目に報告するのは成果ではなく、判断と基準
着任直後に最も効くのは、新しい施策ではなく現状の一覧化です。まずは動いている施策と、それぞれの金額を並べてみてください。それだけで、最初に止めるべきものが見つかります。