KPI管理表の作り方|Excelテンプレートと、運用に乗せるための型
KPIを決めて表にしたものの、数ヶ月で更新が止まった。あるいは埋めてはいるが、見ても何をすべきか分からない。こうした状態の原因は、指標の選び方ではなく表の列構成にあります。この記事では、KPI管理表の作り方と、運用に乗せるための型を整理します。
実績を並べるだけの表は使われない
よくあるKPI管理表は、目標値・実績値・達成率の3列でできています。
この構成だと、見て分かるのは「遅れているかどうか」だけです。遅れていることは分かっていても、何をすればよいかは分かりません。
結果として、定例では数字を読み上げて終わりになり、やがて更新も止まります。
必要な列構成
最低限必要なのは次の6列です。
- 指標名:何を見ているか
- 目標値:期末までに達すべき数字
- 実績値:現時点で積み上がっている数字
- 着地見込み:このままいったらどうなるか
- 差分の理由:目標と見込みがずれている原因
- 次の手と担当:誰が何をするか
鍵になるのは4列目です。
着地見込み列が必要な理由
実績値だけを見ていると、手遅れになります。三四半期の時点で達成60%なら順調に見えますが、残りの施策がなければ未達です。
着地見込み列を持つと、今手を打つべきかどうかがその場で判断できます。見込みの精度は低くても構いません。目標との差が見えることに意味があります。
差分の理由は選択式にする
自由記述にすると、書くのが面倒になって空白が増えます。
あらかじめ選択肢を用意しておくと、入力が続きます。例としては、施策の遅れ、市場環境の変化、前提の誤り、他部門要因、原因不明の5つです。
「原因不明」を残しておくのがコツです。これが選ばれた項目は、調べるところから始めることになります。無理に理由をつけさせると、もっともらしい後付けが並びます。
月次か週次か
行を何で区切るかは、指標の性質で決めます。
判断基準は、手を打ってから数字が動くまでの日数です。
- 週次向き:広告のCPA、サイトのCVR。数日で反応が見えます
- 月次向き:リード数、商談化率。週で見るとブレが大きすぎます
- 四半期向き:LTV、指名検索数。短期では動きません
混在させると、週次の表に四半期指標が並んで、毎週同じ数字を転記することになります。これが更新を面倒にする典型パターンです。
週次と月次のシートを分けるのが確実です。
指標は5つまで
表を作るとき、つい指標を増やしたくなります。しかし指標が多い表は確実に更新が止まります。
目安は一つの表に5つまでです。これ以上になると、埋めることが目的化して、一つ一つの数字を見なくなります。
絞り方の基準は、「この数字が悪かったら何かを変えるか」です。見ているだけで行動が変わらない数字は、参考情報として別のシートに移してください。
更新を止めない仕組み
列構成を整えても、運用の型がなければ止まります。決めるべきことは3つです。
更新する人を一人にする
各担当が自分の行を埋める形にすると、一人でも抹けると表が完成しなくなります。
数字の収集と入力は一人が担当し、他のメンバーは差分の理由と次の手だけを埋める。この分担なら、数字は必ず揃います。
更新の期日を会議の前日に置く
会議当日に埋める運用にすると、数字を見ながら議論する時間がなくなります。
前日までに埋めると決めて、会議では差分の理由と次の手だけを話す。こうすると、定例が報告会ではなく判断の場になります。
未達のときの手順を決めておく
未達が見つかったとき、その場で対策を考え始めると会議が長引きます。
事前に、未達の幅ごとの対応を決めておくと早くなります。目標の9割以上なら経過観察、5〜9割なら担当が対策を持ち帰る、5割未満ならその場で施策の変更を検討する、といった形です。
Excelでやるときの注意点
小さく始めるならExcelやスプレッドシートで十分ですが、つまずく点があります。
最も多いのは、ファイルが複製されてどれが最新か分からなくなるケースです。スプレッドシートでURLを一つに固定し、ダウンロードして編集しないルールにするだけで防げます。
もう一つは、過去分を上書きしてしまうことです。月ごとに行を追加していく形にしておかないと、推移が見えなくなります。
表では限界が来るタイミング
手作業の表で回らなくなるのは、次のような場合です。
- 数字を集める作業に、毎回1時間以上かかっている
- 見る人が増えて、部門ごとに別の表を作り始めている
- 週次で見たい指標が出てきた
1つ目が最も分かりやすい基準です。集計にかける時間が、数字を見て考える時間を超えたら、仕組み化を検討する時期です。
よくある質問
Q. 目標値を途中で変えてもよいですか
変える場合は、元の値を残して履歴を見えるようにしてください。上書きしてしまうと、何度も下げて達成したことになります。変更の理由を一行添えておくだけで、振り返りの質が変わります。
Q. 達成率だけでは不十分ですか
達成率は過去の結果しか表しません。期末までの残り日数と、このペースでいったときの着地を並べて初めて、今手を打つべきかが判断できます。
Q. 担当が入力してくれません
入力した内容が会議で使われているか確認してください。埋めたのに話題に上がらない項目は、次回から空白になります。使わない列は削るのが確実です。
Q. 指標が達成し続けています
目標が低いか、すでにコントロールできている指標です。後者なら、管理表から外して別の指標に入れ替えて構いません。常に達成する数字を見続ける意味は薄いです。
数字を集める時間を減らす
KPI管理表が形骸化する最大の原因は、集計の手間です。各ツールから数字を抜いて転記する作業が毎回発生すると、やがて誰もやらなくなります。
Xtrategyでは、施策のスケジュールと予算・KPIを同一画面で管理できます。数字が自動で揃う状態になれば、差分の理由と次の手を考える時間に回せます。
まとめ
- 目標・実績・達成率の3列だけでは、見ても行動につながらない
- 着地見込み・差分の理由・次の手の3列を足す
- 差分の理由は選択式にし、「原因不明」を残す
- 指標の反応速度で、週次と月次のシートを分ける
- 一つの表に並べる指標は5つまで
- 数字の入力は一人に集約し、他は理由と手だけ書く
KPI管理表で最も効くのは、着地見込みの列を追加することです。まずは今使っている表に1列足して、このペースで目標に届くかを埋めてみてください。