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マーケティング予算の策定プロセス|年間予算を組む手順とスケジュール

マーケティング予算の策定プロセス|年間予算を組む手順とスケジュール

予算策定で最も時間を取られるのは、数字を作る作業ではありません。提出したあとの削減要請と、それへの対応です。この記事では、年間予算を組む手順とスケジュールを押さえたうえで、削られにくい予算案にするための準備を整理します。

策定の全体スケジュール

3月決算の企業を例にすると、実作業は前年の10月頃から始まります。

  • 10〜11月:経営方針と予算枠の提示を受ける
  • 11〜12月:前期の振り返りと予算案の作成
  • 12〜1月:部門間の調整
  • 1〜2月:経営層の審議
  • 2〜3月:確定と展開

このうち、予算が削られるのは12月以降の調整・審議の段階です。しかし削られるかどうかは、それ以前の準備でほぼ決まっています。

実際には9月から始まっている

上記は公式なスケジュールですが、準備はもう少し前から必要です。

前期の実績データを集め始めるのは9月です。予算案を作る段階でデータを探し始めると、根拠の弱い数字しか作れません。

削られる予算の共通点

調整の場で先に切られる項目には、はっきりした特徴があります。

成果の説明が定性的

「ブランド認知の向上」「顧客体験の改善」といった目的しか書いていない項目は、真っ先に候補に上がります。

測れない施策でも、代替指標は置けます。記事の公開本数、掲載獲得件数、指名検索数の推移。売上との因果を証明できなくても、進んだかどうかを判定できる数字があれば守りやすくなります。

前年踏襲で理由がない

前年と同じ金額が並んでいるだけの項目は、削減の根拠を与えます。前年同額でも構いませんが、なぜその額なのかを書いておく必要があります。

単位が大きすぎる

「デジタル施策一式:3,000万円」のような書き方だと、削る側は中身を見ずに一律で圧縮をかけてきます。

施策単位まで分解しておくと、削る側も「この施策をやめるのか」という具体的な判断を迫られます。一律カットがしにくくなります。

根拠の作り方

金額の根拠には3つのレベルがあります。上に行くほど守りやすくなります。

  • レベル1:見積もりがある。ベンダーの見積書が根拠。金額の正しさは示せますが、必要性は示せません
  • レベル2:自社の実績から算出している。前期のCPA実績×目標獲得数、といった形。他部門にも反論しにくい
  • レベル3:売上目標から逆算している。この予算を削るなら売上目標も下げることになる、という構造

レベル3にできる項目は限られますが、主要な獲得施策だけでもこの形にしておくと、予算全体の防御力が上がります。

数字の出どこを揃える

審議で崩れるときの典型が、営業部門の数字と合わないケースです。

リードから商談への転換率、商談から受注への確度。ここの前提が営業と違っていると、席上で矛盾が露見して予算案全体の信用が落ちます。提出前に営業と数字を突き合わせておいてください。

優先順位の示し方

削減要請はほぼ確実に来ます。問題は、どこを削るかを誰が決めるかです。

一律カットを指示されると、成果の出ている施策まで弱体化します。これを避けるには、自分で優先順位を付けて提示するしかありません。

3層に分けて出す

  • 土台:止めると既存の成果が下がるもの。既存顧客への接点や、稼働している獲得施策
  • 伸ばす:目標達成に必要な上乗せ分。削られれば目標を下げる交渉になる
  • 試す:新規チャネルや実験枠。削られても今期の数字には響かない

この3層で提示すると、削る側は「試す」から手をつけます。成果の出ている施策を守りながら、削減に応じられます。

ただし「試す」を毎年全額削られると、伸びしろがなくなります。前期の実験の成果が現在の主力に育った例を添えておくと、この枠の必要性を説明しやすくなります。

削られたときの対応

交渉の余地がなく削減が確定した場合、やるべきことは2つです。

目標の再計算を提示する

予算が2割削られたなら、獲得見込みがどう変わるかを計算して提出します。これをしないと、予算だけ削られて目標はそのまま残ります。

予算と目標はセットでしか変えられない、という前提をこの場で確認しておくことが重要です。

削った影響を記録する

削られた項目と、それによってやめた施策を控えておきます。期中に数字が不足したとき、追加予算を要求する材料になります。

次年度の策定時にも使えます。削った項目の影響が実際に出ていれば、翼年の交渉で強い根拠になります。

予備費をどう置くか

予備費は必要ですが、置き方を間違えると真っ先に削られます。

「予備費:500万円」と単独で計上すると、使い道のない金額に見えます。使う条件と判断者を先に決めておくと、性格が変わります。

例として、「四半期レビューで目標を超えているチャネルへの追加投資に使う。判断はマーケティング部長」としておく。使途が限定されているほうが、予備費は残りやすくなります。

よくある質問

Q. 多めに要求して削られることを見込むべきですか

推奨しません。水増しが見えると、全項目の根拠が疑われます。逆に正確な数字を出していると分かれば、削減交渉の場で信用されます。次年以降を考えても、正確に出したほうが有利です。

Q. 新規施策の予算が通りません

実績がない以上、同じ土俵では既存施策に勝てません。小さく始めて実績を作る順序にしてください。年間予算ではなく、テスト期間の小額予算として要求し、結果が出てから本格化を提案する形が通りやすいです。

Q. 経営層に何を見せればよいですか

チャネル別の金額一覧ではなく、売上目標とのつながりです。「目標売上X億には受注Y件、そのためにリードZ件が必要で、その獲得にこの金額が要る」という連鎖を一枚で見せると、議論が早くなります。

Q. 前任から引き継いだ予算の根拠が分かりません

分からない項目は、一度ゼロで組み直してみてください。止めても問題がない項目が見つかることがあります。すべてをゼロベースで見直すのは重いので、根拠不明の項目に限定するのが現実的です。

策定の前に揃えておくもの

削られにくい予算案を作れるかどうかは、前期のデータがどの程度揃っているかで決まります。施策ごとの使用額と成果が別の場所にあると、策定時期に集めるだけで数週間かかります。

Xtrategyでは、施策のスケジュールと予算・KPIを同一画面で管理できます。使った金額と出た成果が紐づいていれば、次期の根拠はそのまま取り出せます。

まとめ

  • 予算が削られるかどうかは、提出前の準備でほぼ決まる
  • 削られやすいのは、成果が定性・前年踏襲・単位が大きい項目
  • 根拠は、見積もりより実績、実績より売上逆算が強い
  • 土台・伸ばす・試すの3層で提示し、削る順番を自分で決める
  • 削られたら、目標の再計算をその場で提示する
  • 予備費は使途と判断者を明記しておくと残りやすい

予算策定で最も効くのは、前期の実績を施策単位で取り出せる状態にしておくことです。まずは9月のうちに、施策ごとの使用額と成果を並べた表を作るところから始めてみてください。

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