マーケティング年間予算計画テンプレート|記入例と四半期の見直し手順
与謝秀作

年間マーケティング予算は、事業目標に必要な施策と費用を積み上げ、四半期ごとの配分と年度末見込を確認する計画です。原予算、承認済改訂予算、実績、見込を別に残すと、どこで前提が変わったかを説明できます。
この記事では、本文からコピーして表計算ソフトに移せる記入表と、架空の完成例を掲載します。新たなダウンロードファイルの配布ではありません。既存のExcelを使いたい場合は、マーケティング予算管理表テンプレートをご覧ください。
年間予算計画の前提をそろえる
最初に年度、通貨、税区分、計上基準、対象費用、責任者を記入します。広告費だけを扱う計画と、人件費・外注費まで含む計画は総額が異なります。広告運用費を広告費にも外注費にも重複計上しないように、費目の境界を決めましょう。
前提項目 | 記入欄 | 架空の例 |
|---|---|---|
年度・集計期間 | [開始日〜終了日] | 4月1日〜翌3月31日 |
通貨・税区分 | [通貨、税込・税抜] | 円・税抜 |
費用範囲 | [広告、制作、労務、ツール等] | 広告費、外注費、労務費、ツール費 |
計上基準・締日 | [支払・発生、締日] | 社内管理用の発生額、月末締め |
作成・確認・承認 | [担当者、確認日] | 施策担当が入力、部門責任者が承認 |
総額を売上の一律比率で決めず、目標、粗利益、過去の獲得効率、供給能力、契約済費用から積み上げます。新施策は検証費と評価時期を置き、予備費も使途と承認条件から検討します。業種だけで予備費や広告費の割合は決まりません。
コピーして使える年間配分表
以下を費目ごとに複製して使います。Q1〜Q4は自社の年度に合わせ、四半期の合計が原予算に一致するか確認してください。
費目・施策 | 責任者 | 原予算 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | 承認済改訂予算 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
[広告・制作など] | [担当] | [金額] | [金額] | [金額] | [金額] | [金額] | [金額・改訂日] |
合計 | [確認者] | [年間総額] | [合計] | [合計] | [合計] | [合計] | [最新承認額] |
支出の予定月は施策の開始月と一致しない場合があります。展示会の申込、制作の着手金、年間契約など、発注・納品・計上の時期を確認します。月次の詳細表には施策IDを持たせ、年間の費目と対応づけると集計漏れを探せます。
上期終了時点の架空の記入例
金額はすべて万円、実際の企業の予算や成果ではありません。原予算1,200万円を各四半期300万円ずつ配分し、改訂はまだ承認していないと仮定します。
費目 | 原予算 | 上期実績 | 発注済み未計上 | 未発注の残期間見込 | 年度末見込 |
|---|---|---|---|---|---|
広告 | 600 | 280 | 40 | 290 | 610 |
制作・外注 | 300 | 130 | 50 | 100 | 280 |
ツール・労務 | 300 | 140 | 20 | 120 | 280 |
合計 | 1,200 | 550 | 110 | 510 | 1,170 |
年度末見込=計上済み実績550万円+発注済み未計上110万円+未発注見込510万円=1,170万円。下期見込は110+510=620万円、原予算との差額は1,170−1,200=−30万円です。発注済額を残期間見込にも含めると二重計上になるため、ここでは別々にしています。
差額がマイナスでも、節約の成功とは限りません。必要な制作の遅延や未計上、成果不足がないかを確認します。予算が余ったから使うのではなく、残期間の目的と実行能力から判断しましょう。
CPA・ROAS・ROIを同じ条件で比較する
Google広告の平均CPAは、対象コンバージョンの費用を件数で割る指標です。問い合わせなら問い合わせ1件当たりであり、顧客1社の総獲得費用であるCACとは対象と費用範囲が異なります。
指標 | 計算 | 比較前に決めること |
|---|---|---|
CPA | 対象費用÷定義済み成果件数 | 成果の成功条件、費用範囲、重複除外 |
ROAS | 広告に帰属する売上÷広告費×100 | 帰属モデル、計測期間、返品・税 |
ROI | 対象投資による利益÷対象投資額×100 | 利益の定義、原価、含める追加費用 |
架空例として売上100万円、売上原価40万円、広告費20万円、制作・運用費10万円なら、広告費だけのROASは500%です。広告・制作運用30万円を対象投資とし、その控除後利益を使うROIは(100−40−20−10)÷30×100=約133.3%となります。その他の固定費を含めていない例で、利益配賦が異なれば値も変わります。
Google広告のROI解説も、売上だけでなく原価等の費用を扱っています。条件の異なるチャネルを単純に順位づけせず、比較不能なものは分けます。広告指標の詳しい読み方はROASの計算と注意点をご覧ください。
四半期レビューで確認する順番
- データを確定する:請求漏れ、計測欠損、二重計上、成果の確定待ちを確認する。
- 支出を説明する:原予算・改訂予算・実績・見込の差と、契約済費用を確認する。
- 成果の質を見る:有効問い合わせ、受注までの遅れ、粗利、対応能力を確認する。
- 選択肢を比較する:維持、改善テスト、増額、減額、中止の費用と制約を整理する。
- 決定を残す:金額、担当者、承認者、次の確認日まで記録する。
CPAが目標を超えたときも、直ちに予算を一定割合削減する必要はありません。問い合わせの質、成熟していない商談、追加投資の効率、固定契約を調べてから小さく試します。配分の考え方はマーケティング予算の配分方法を参照してください。
原予算を残し、変更理由を記録する
原予算は最初の承認値、改訂予算は承認された変更後の値、見込は現時点の予測です。Microsoftの予算管理の公式説明も、原予算・移転・改訂を区別する実装例を示しています。これは管理方法の参考であり、Xtrategyの仕様説明ではありません。
レビュー記録 | 記入欄 |
|---|---|
日付・対象・データ品質 | [確認日、対象費目、欠損や確定待ち] |
変化と原因仮説 | [指標の変化、事実、未確認の理由] |
決定と金額 | [維持・テスト・増減、対象金額] |
責任と確認 | [実行担当、承認者、次の確認日] |
月末の入力担当と確認締日、正本の保存場所を決め、承認前の案を最新版として配布しないようにします。複数プロジェクトのメディア費・労務費・外注費の月次予実を管理したい場合は、Xtrategyの機能一覧で費目と承認の運用を確認してください。