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マーケティングは内製化すべきか|領域別・損益分岐で判断する5つの基準

内製化すべきかを調べると、ノウハウ蓄積やスピードといった利点が並びます。しかし実際の判断では、金額が合うかどうかが先に来ます。この記事では、内製と外注の損益分岐をどう計算するかと、領域ごとに分岐点が違う理由を整理します。

単価だけで比べると間違える

外注費と人件費を並べて比べると、内製のほうが安く見えます。

この比較には、内製側のコストがいくつか抜けています。

  • 採用コスト:人材紹介なら年収の一定割合。自社採用でも工数がかかる
  • 立ち上がり期間:成果を出すまでの数ヶ月は、人件費だけが発生します
  • ツール代:外注先が持っていた環境を自前で揃える必要があります
  • 離職リスク:1人体制なら、抜けた瞬間にゼロに戻ります

逆に外注側にも、見積書に出てこないコストがあります。依頼書の作成、進捗確認、成果物のチェック。これらは自社の工数です。

損益分岐の考え方

内製は固定費、外注は変動費です。この違いが分岐点を作ります。

作業量が少ないうちは外注が安く、ある量を超えると内製が逆転します。

計算の手順

  1. 外注の年間額を出す:月額×12。実費やスポット発注も含めます
  2. 内製の年間額を出す:人件費(社保含む)+採用費の按分+ツール代
  3. 両方に残る管理工数を引く:外注でも工数はゼロになりません
  4. 現在の作業量で比べる:将来の想定ではなく、今の実態で

4つ目が重要です。「将来的に増えるはず」で内製化すると、増えなかったときに固定費だけが残ります。

領域別の分岐点

分岐点は領域によって大きく違います。違いを生むのは、作業の発生頻度と専門性の高さです。

分岐点が早い領域

広告の日次運用、SNSの投稿、メール配信などです。

毎日発生する上に、外注すると手間が増えます。少しの変更にも連絡が必要になるためです。一定以上の規模になれば、早い段階で内製が有利になります。

分岐点が遅い領域

動画制作、大規模なサイト構築、専門的なデータ分析などです。

年に数回しか発生せず、必要な技能の習得に時間がかかります。内製化しても手空きの期間が長く、分岐点に到達しないケースが多いです。

中間にある領域

記事制作やバナー制作は、発注量次第でどちらにも振れます。

この領域では、修正回数を見てください。往復が多い仕事は、単価以上に待ち時間のコストがかかります。

金額で決めてはいけないもの

損益分岐で判断してよいのは、手順が決まっている作業だけです。

判断を伴う工程は、安くても外に出してはいけません。

  • 予算をどのチャネルに割くか
  • どの層に向けて何を言うか
  • うまくいかない施策をいつ止めるか

これらを外部に任せると、コストは下がっても事業の方向をコントロールできなくなります。

判断基準5つ

ここまでをまとめると、見るべきは次の5点です。

1. 判断を伴うか

伴うなら、金額に関係なく内製です。この問いで分けてから、残りを損益分岐で判断します。

2. 発生頻度はどれくらいか

週に複数回なら内製の検討価値があります。月に数回以下なら、外注のほうが安く済むケースがほとんどです。

3. 手が空いたときに他の仕事があるか

見落とされがちな点です。内製化しても、その人の時間を埋められなければ単価は下がりません。

周辺業務を含めて、週の稼働が埋まるかを確かめてください。

4. 抜けたときに止まるか

1人しかできない状態は、コスト以上のリスクです。

内製化するなら、最低でも手順が残っている状態を作ってください。それができないなら、外注のほうが安全です。

5. やめたいときにやめられるか

外注は契約を終了すれば止まりますが、内製は人を抱えたままです。

事業の方向が変わる可能性が高い領域は、外注で柔軟性を保つ判断もあります。

外に戻す判断

一度内製化したものを外に戻すのは、失敗ではありません。

次のような場合は、戻す検討をしてください。

  • 作業量が減って、分岐点を下回った
  • 担当者が抜け、再度採用からになる
  • 内製している作業に、判断の時間を食われている

3つ目が出ているなら、内製化の目的が反転しています。判断を取り戻すために始めたはずが、作業に埋もれて判断が止まっている状態です。

よくある質問

Q. ノウハウ蓄積のために内製化すべきでは

蓄積したいのが作業の技能なのか、判断の経験なのかで変わります。後者なら、実作業を外注したままでも蓄積できます。バナーを自分で作らなくても、どの表現が反応したかは分かります。

Q. 代理店の手数料が高いと感じます

手数料の中身を分解してみてください。入稿作業なのか、分析と提案なのかで、内製化で浮く額が違います。全額を削れる前提で計算すると、内製化後に見込み違いになります。

Q. 部分的な内製化は可能ですか

それが現実的な進め方です。判断だけ先に引き取り、実作業は引き続き任せる。この状態でも、代理店への指示の質が変わるため成果に差が出ます。

Q. 内製化でコストは下がりますか

分岐点を超えた領域では下がります。ただし、コスト削減を主目的にすると判断を誤りやすくなります。安く上げることを優先すると、安い人を採って成果が下がるという結果になりがちです。

判断の前に揃えるもの

損益分岐を計算するには、現在の外注額と、それがどの施策に使われているかが見えている必要があります。発注先ごとの請求と、施策の成果が別々に管理されていると、集計だけで数日かかります。

Xtrategyでは、施策のスケジュールと予算・KPIを同一画面で管理できます。施策単位で金額が見えていれば、内製化の検討は数字から始められます。

まとめ

  • 単価比較ではなく、採用・立ち上がり・離職リスクを含めて計算する
  • 内製は固定費、外注は変動費。作業量で逆転する
  • 分岐点は領域で違う。日次発生する作業は早く、年数回の制作は遅い
  • 判断を伴う工程は、金額に関係なく内製
  • 1人しかできない内製化は、コスト以上のリスクを抱える
  • 外に戻す判断もある。内製化は一方通行ではない

内製化の判断で最も効くのは、今の作業量で計算することです。まずは直近1年の外注額を領域別に並べて、発生頻度を数えてみてください。分岐点を超えている領域があれば、そこが候補です。

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