マーケティング企画書の書き方|構成テンプレートと予算欄の作り方
施策の企画書を書いたものの、会議では金額の話ばかりになって中身の議論に入らない。あるいは「で、何ができるの?」と聞かれて答えに詰まる。こうした問題の多くは、書く順番と項目の粒度に原因があります。この記事では、マーケティング企画書の構成と、予算欄の書き方を整理します。
企画書で決めてもらうのは一つだけ
書き始める前に確認しておくことがあります。この企画書で、相手に何を判断してほしいのかです。
主なパターンは3つです。
- やるかやらないか:新規施策の可否を問う場合
- どちらを選ぶか:複数の案から選択してもらう場合
- いくら出すか:方向性は合意済みで、規模を決める場合
これを混ぜると、会議が拡散します。新規施策の可否を問いたいのに金額の細かい内訳を載せると、コストの議論から抜けられなくなります。
企画書の構成7項目
項目と順番は次のとおりです。
- 何をやるか:施策の内容を1〜2行で
- なぜ今か:背景と、後回しにできない理由
- 誰に届けるか:ターゲットと、その人たちの現状
- 何が起きると期待するか:具体的な行動の変化
- 何をもって成功とするか:判定できる数字と時期
- どう進めるか:体制とスケジュールの骨格
- いくらかかるか:概算と、内訳の大きなもの
A4一枚に収まる量です。これ以上長くなると、読む前に会議が始まります。
2番目が最も抜けやすい
「なぜ今か」がない企画書は、「良さそうだね、検討しよう」で終わります。
書くべきは、後回しにしたときの損失です。競合が先に取る、需要期を逃す、準備期間を考えると今決めないと間に合わない。こうした事実があると、判断が先送りされにくくなります。
4番目は行動で書く
「認知が上がる」「興味を持ってもらう」といった書き方だと、成果を判定できません。
資料をダウンロードする、問い合わせをする、店舗に来る。相手が実際にとる行動で書くと、5番目の成功基準が自動的に決まります。
予算欄は概算でよい
企画書の予算欄で、見積書並みの精度を出す必要はありません。
細かい内訳を載せると、一項目ずつの妥当性を問われ、施策そのものの議論に入れなくなります。まだやると決まっていない段階で、見積を取りに行くのも手間です。
幅を持たせる
「300万円」と一点で書くより、「250〜350万円」と幅で示すほうが実態に合います。
幅を持たせると、後から金額が動いたときに説明が楽になります。一点で出すと、少しでも超えた時点で再承認が必要になります。
内訳は3項目まで
分けるなら、金額の大きいものから3つまでです。広告出稿・制作・外注といった粒度で十分です。
十項目並べると、すべてに根拠を求められます。細かい項目は、実施が決まってから詰めれば間に合います。
推定の根拠を一行添える
金額の横に、どう算出したかを一行書いておいてください。
「前回の同規模施策が280万円」「ベンダーにヒアリング済み」といった一言があるだけで、数字の信頼度が変わります。根拠がない場合は「推定」と明記してください。曖昧なまま数字を出すより、推定だと断るほうが安全です。
通らない企画書の共通点
内容は悪くないのに決まらない企画書には、共通する特徴があります。
やらない選択肢が書いてない
やる前提で書かれた企画書は、判断を求めているようで実は承認を求めています。
やらない場合に何が起きるかを一行入れると、相手は比較して判断できます。この一行がないと、「やらなくても困らないのでは」という疑問が残ります。
誰がやるか書いてない
施策の内容が良くても、実行する人の見通しがないと決められません。
既存業務を抱えたままやるのか、何かを止めるのか、外注するのか。ここが書かれていない企画は、承認した側も不安になります。
成果の時期が書いてない
「リード100件」だけだと、いつ判定するのかが分かりません。
「開始3ヶ月後にリード100件」と時期を入れると、いつ振り返るかが決まります。成果が出るまでに時間がかかる施策なら、途中で見る指標も添えておくと安心されます。
複数案を出すとき
選んでもらう形にする場合は、2〜3案に押さえます。
重要なのは、案の違いを金額だけにしないことです。金額違いの3案を並べると、安い案が選ばれます。
各案で「取りにいくもの」が違う形にすると、判断が金額以外の軸で行われます。早く少なく取る案と、時間はかかるが大きく取る案、といった対比です。
提出前の確認
提出前に、次の3つを確かめてください。
- 判断する人が知らない用語が入っていないか
- 営業部門の数字と矛盾していないか
- いつまでに決めてほしいかが書いてあるか
3つ目が意外に抜けます。決定の期限を書いておかないと、「今度検討しよう」のまま数週間が過ぎます。
よくある質問
Q. パワポと文書のどちらがよいですか
説明の場があるならパワポ、回覧で判断されるなら文書です。パワポは説明者がいる前提で作られるため、単体で回すと意図が伝わりません。両方必要な場合は、文書を本体にしてパワポは説明用に押さえるのが効率的です。
Q. 前例のない施策で数字が出せません
成果の予測ではなく、検証したいことを書いてください。「この層に届くかを確かめる」と目的を置き、小さな予算で提案する形なら通りやすくなります。推測で大きな数字を出すと、その根拠を問われて崩れます。
Q. 何度も差し戻されます
提出前に、判断者に直接読ませない場合でも、同じ立場の人に一度見てもらってください。自分では自明な前提が、他の人には伝わっていないことがよくあります。差し戻しの理由を控えておくと、次回から同じ指摘を受けなくなります。
Q. 予算が決まっている場合は
上限が先にあるなら、その金額で何ができるかを書く形になります。この場合も、予算を使い切る前提ではなく、残してもよいという提案にしておくと安全です。使い切る前提で組むと、途中で方向転換しにくくなります。
通ったあとに必要なこと
企画書は通すことが目的ではなく、書いた成功基準に届くかを見届けるところまでが仕事です。提出時の想定と実際の成果が別の場所にあると、振り返りのたびに探すことになります。
Xtrategyでは、施策のスケジュールと予算・KPIを同一画面で管理できます。企画時の数字と実績が同じ場所にあれば、次の企画書で前回の実績を根拠にできます。
まとめ
- 書く前に、相手に何を判断してほしいのかを決める
- 構成は7項目、A4一枚に収める
- 抜けやすいのは「なぜ今か」。後回しにしたときの損失を書く
- 期待する変化は、相手がとる行動で書く
- 予算欄は幅を持たせ、内訳は3項目まで
- 複数案の違いを金額だけにしない
企画書で最も効くのは、「やらない場合に何が起きるか」の一行です。まずは今書いている企画書に、この一行を追加してみてください。書けないなら、その施策はまだ優先度が低いのかもしれません。