ブログ一覧へ戻る

マーケティング業務のワークフロー自動化|手戻りを減らす仕組みの作り方

依頼したはずの作業が進んでいない。完成したと思ったら、前提が違っていて作り直しになった。マーケティングの現場で手戻りが多いのは、作業が遅いからではなく、情報の渡し方に原因があることがほとんどです。この記事では、自動化で解決できる範囲と、自動化しても残るものを分けて整理します。

MAとは別の話です

最初に用語を整理しておきます。マーケティングの自動化には2つの意味があり、混同されがちです。

  • MA(マーケティングオートメーション):顧客へのコミュニケーションを自動化する。シナリオ配信やスコアリングがこれにあたります
  • 業務ワークフローの自動化:社内の仕事の進め方を自動化する。依頼の受付、確認依頼、進捗の共有など

この記事で扱うのは後者です。MAを導入しても、社内の手戻りは減りません。別の問題として切り分けて考える必要があります。

手戻りの3つの原因

自動化を考える前に、何が手戻りを生んでいるかを特定します。原因によって、自動化が効くかどうかが変わります。

1. 前提の確認漏れ

依頼する側が必要な情報を渡していないケースです。掲載先、サイズ、納期、参考資料。これらが欠けたまま作業が始まると、完成後に作り直しになります。

自動化が最も効く領域です。入力フォームを必須項目付きにするだけで、相当数が消えます。

2. 判断基準の不共有

何を満たせばOKなのかが分からないまま進めて、確認段階で差し戻されるケースです。トーンが違う、ターゲットの想定が違っていた、といった形で現れます。

自動化では解決しません。基準を言語化して共有する作業が先に必要です。ただし、基準が決まったあとなら、チェックリストとして仕組みに組み込めます。

3. 情報の分散

依頼がメール、修正指示がチャット、仕様が別のファイルにある状態です。どれが最新か分からなくなり、古い情報で作業してしまいます。

自動化というより、集約が効く領域です。情報が1か所に集まっていれば、自動化しなくても手戻りは減ります。

最初にやるべきこと

ツールを探す前に、依頼の受付口を一本化してください。これが最も効果が大きく、しかも今日からできます。

依頼がメール、チャット、口頭、会議での依頼とばらばらに入ってくる限り、どんなツールを入れても漏れます。

受付フォームの項目

制作依頼を例にすると、次の項目を必須にしておくと、前提の確認漏れが減ります。

  • 使う場所(掲載面、媒体、サイズ)
  • 必要な日(公開日と、確認に必要な日数)
  • 誰に向けたものか
  • 参考にしたいものと、避けたいもの
  • 確認する人(誰のOKで確定か)

5つ目が重要です。誰の確認で確定なのかを最初に決めておかないと、完成後に別の人から意見が出てやり直しになります。

自動化で効果が出るところ

受付口を揃えたあとに、仕組み化する価値が高いものです。

次の人への受け渡し

作業が終わったときに、次の担当者に自動で通知が飛ぶ形です。手動で声をかけていると、忘れた瞬間に止まります。

期限のリマインド

確認待ちが一定日数を超えたら、自動で催促する仕組みです。人が催促すると気を遣う分だけ遅れますが、仕組みなら気を遣いません。

定型作業の生成

施策が登録されたら、必要なタスクが自動で作られる形です。毎回同じ項目を手入力しているのであれば、テンプレート化する価値があります。

自動化しても残る作業

ここを見誤ると、導入後に期待が外れます。

  • 判断:この表現でよいか、この予算を使うか。人が決めるしかありません
  • 調整:他部署との優先順位のすり合わせは、通知では解決しません
  • 例外対応:想定外のケースは、定義していないから例外です

自動化が取り除けるのは、伝達と転記と忘れだけです。判断と調整は残ります。むしろ、伝達と転記が減った分を判断と調整に回せることが利点です。

通知を増やすと逆効果になる

自動化で最もやりがちな失敗です。漏れを防こうとして通知を増やすと、やがて誰も見なくなります。

通知を設計するときの基準は、受け取った人に行動が必要かどうかです。行動しなくてよい情報は、見に行けば分かる場所に置けば十分です。

目安として、1人が1日に受け取る自動通知は5件までです。それ以上になるなら、まとめて定期配信にするか、通知する対象を絞ってください。

進め方の順序

  1. 手戻りの発生箇所を数える:直近1ヶ月で、どの工程で何回戻ったかを書き出します
  2. 原因を分類する:前提の漏れか、基準の不共有か、情報の分散か
  3. 受付口を一本化する:ツールなしでも、フォームを1つ作るだけで始められます
  4. 判断基準を文章にする:過去の差し戻し理由を集めてリスト化します
  5. 繰り返しの多いものから仕組み化する:週に何度も発生するものから手をつけます

1つ目を飛ばすと、実は大して発生していないところを自動化してしまいます。印象ではなく回数を数えてください。

よくある質問

Q. ツールは何から入れるべきですか

すでに使っているツールの機能を先に見てください。タスク管理ツールやチャットツールに、テンプレートやリマインドの機能があることが多いです。新しいツールを増やすと、情報の分散がむしろ進みます。

Q. 導入したのに使われません

依頼する側の手間が増えていないか確認してください。入力項目が多すぎると、チャットで送ったほうが早いとなり、フォームが使われなくなります。項目は5つ前後に押さえるのが現実的です。

Q. 例外が多くて仕組み化できません

例外を含めようとせず、標準パターンだけを仕組みにしてください。全体の7割が回れば十分です。残りは個別対応で構いません。すべてをカバーしようとすると、複雑すぎて誰も使えなくなります。

Q. 効果はどう測りますか

手戻りの回数と、依頼から完了までの日数です。導入前に測っておかないと比較できないので、始める前に1ヶ月分だけ記録しておくことを推奨します。

仕組みの前に整えるもの

自動化の効果は、情報がどこにあるかで大きく変わります。依頼と進捗と予算が別の場所にあると、通知を飛ばしても受け取った側が確認に行く手間は残ります。

Xtrategyでは、施策のスケジュールと予算・KPIを同一画面で管理できます。見る場所が1つになっていれば、通知の数自体を減らせます。

まとめ

  • 業務ワークフローの自動化とMAは別の話。MAでは社内の手戻りは減らない
  • 手戻りの原因は、前提の確認漏れ・判断基準の不共有・情報の分散の3つ
  • 自動化が最も効くのは、前提の確認漏れ。受付フォームを必須項目付きにする
  • 判断・調整・例外対応は自動化しても残る
  • 通知は行動が必要なものだけ。1日5件を超えると見られなくなる
  • 例外を含めず、標準パターンの7割を回せば十分

自動化は、手戻りの原因を特定してから手をつけるものです。まずは直近1ヶ月で、どの工程で何回戻ったかを数えてみてください。意外なところに集中しているはずです。

ブログ一覧へ戻る