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リテンション率とは?顧客維持率の計算式とチャーンとの関係

与謝秀作

リテンション率とは?計算方法・チャーンとの違いと改善施策

顧客のリテンション率は、期首にいた顧客のうち、期末も継続している顧客の割合です。「期首顧客の期末継続数÷期首顧客数×100」で計算します。新規獲得人数が増えても、この維持率が上がるとは限りません。まず同じ顧客群を追い、何を継続とするかを決めましょう。

契約・利用・売上の維持を分ける

同じ「リテンション」でも、契約が有効か、サービスを利用したか、売上が残ったかでは答えが変わります。契約中でも利用していない顧客や、顧客数は変わらず利用料金だけが下がったケースがあるためです。Stripeの顧客維持の解説も、既存顧客の維持と新規獲得を分けて扱っています。

指標

継続の判定

分母と注意点

顧客・契約維持率

期首顧客が期末にも有効契約を持つ

一意の期首顧客数。顧客と契約の単位を混ぜない

利用継続率

開始後の指定日に価値行動を行う

開始コホートの観測可能なユーザー。契約継続とは別

売上維持率

期首顧客群から得る売上を維持する

同じ顧客群の期首売上。拡張・縮小の扱いを定義

売上を追う場合は、アップグレードによって顧客数が減っても売上維持率が上がることがあります。ネット売上維持率の説明のように、新規売上を外し、既存顧客の拡張・縮小・解約を区別します。顧客数の率と売上の率を同じ基準で評価しないでください。

顧客IDで期首の集団を固定する

  1. 対象期間と時点を決める。例として月初と月末の有効契約を比べる。
  2. 期首の顧客ID一覧を確定する。複数契約を持つ1社を1顧客とするかは事前に決める。
  3. 期末に同じIDが継続条件を満たすかを確認する。
  4. 新規・再開・休止・契約移管を別分類にし、分母へ後から加えない。

トライアルを含めるか、有料化を開始とするか、支払い遅延や解約予約をどう扱うかも記録します。途中で判定ルールを変えると、本当の顧客変化と集計変更を区別できなくなります。期首顧客が0件なら率は算出できません。

架空例:新規顧客を引くだけではずれる

ある1か月の架空データで、期首顧客は100社、うち期末も継続するのは90社とします。月中に20社を新規獲得しましたが、期末に残る新規は15社です。再開・移管はなく、期末総数は105社になります。

顧客群

対象数

期末に残る数

維持率への扱い

期首にいた顧客

100社

90社

分母100、分子90

月中の新規顧客

20社

15社

今回の期首維持率から除く

期末の総顧客

105社

90+15社

期首群と新規群を照合

正しい維持率は90÷100×100=90%です。「期末105−月中新規20」を使うと85%になり、5ポイントずれます。すでに離脱した新規5社まで引いてしまうためです。簡略式を使うなら、期末に残る新規や再開を正しく分離できる必要があります。顧客IDで直接追うほうが、条件を確認しやすくなります。

一方、「ある獲得月の200人のうち、同じ経過日で150人が継続」は75%です。これは獲得コホートの継続率で、期首顧客の維持率とは観測の起点が異なります。利用日や帰還期間の設計は利用コホートのリテンション計算で確認できます。

チャーンとの補数関係には条件がある

同じ期首100社を、期末の継続90社と非継続10社に漏れなく二分するなら、維持率90%と非継続率10%の合計は100%です。これが「リテンション率=100%−チャーン率」と書ける条件です。

ただし、月中に一度解約して再開した顧客を「解約あり」と数える集計は、期末の非継続とは一致しません。Day7に利用しなかった人を契約解約者と数えることもできません。期間・顧客群・状態の定義がそろっているかを先に確認します。

率の変化から次の調査を決める

たとえば、支払い失敗が増えた群には決済状況の確認、導入直後に離れた群には初期利用の調査というように、原因候補で対応を分けます。解約予約と実際の終了日が違う場合は、どちらを集計した値かも報告に添えます。全体の率だけで判断せず、顧客数・継続数・除外数を残せば、構成変化や小さい母数の影響を追跡できます。対策後も同じルールで比較し、追加費用を含めて続けるかを決めましょう。

  • 獲得月・プラン・導入経路ごとに分け、顧客構成の変化を確認する。
  • 利用不足、契約条件、値引き、支払い失敗、解約理由を別に調べる。
  • 対策の対象と費用を決め、同じ経過期間で継続と粗利を確認する。

維持率の高さだけでは、満足度や利益増加を証明できません。固定期間契約や値引きでも顧客は残ります。維持施策と新規獲得の費用比、維持率改善に伴う利益増を一律の「法則」で置かず、自社の条件で測定しましょう。獲得投資とのつながりはLTV・CAC・回収期間による判断で整理できます。

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