RFM分析のやり方|計算例・スコア設計・施策への活用

RFM分析は、最終購入からの経過期間(Recency)、購入頻度(Frequency)、購入金額(Monetary)で顧客の購買行動を整理する方法です。計算前に、基準日、対象顧客、集計期間、有効な注文の条件を固定します。Rは日数が小さいほど最近、FとMは値が大きいほど頻度・金額が高いという向きの違いに注意してください。
この記事では架空の日本円の注文を使い、元データから分類と施策までつなげます。スコア境界は説明用で、業界共通の基準や将来の購買を保証するモデルではありません。
最初に決める集計ルール
項目 | この例のルール |
|---|---|
基準日 | 2026年10月1日、日本時間の日付単位 |
F・Mの期間 | 2025年10月1日〜2026年9月30日 |
対象顧客 | 基準日前に有効購入履歴がある全顧客 |
R | 全履歴で最後の有効購入日から基準日までの日数 |
F | 期間内の異なる有効注文ID数。商品明細行数ではない |
M | 期間内注文の値引き・返品反映後の商品金額。税・送料は含めない |
全額キャンセル注文は有効購入に含めず、一部返品は注文を1件として残してMを減らすルールです。返品は基準日までに把握した分を反映します。これらは一つの設計例で、別の設計も可能ですが、途中で定義を変えず版を残します。MicrosoftのRFM設定説明でも、期間や返品の控除などが設定事項として扱われています。
架空の注文からR・F・Mを計算する
顧客 | 注文ID | 購入日 | 返品反映後の金額 |
|---|---|---|---|
A | A01 | 2026-01-10 | 10,000円 |
A | A02 | 2026-08-20 | 8,000円 |
A | A03 | 2026-09-26 | 7,000円 |
B | B01 | 2026-04-01 | 12,000円 |
B | B02 | 2026-08-02 | 6,000円 |
C | C01 | 2026-06-03 | 30,000円 |
D | D01 | 2025-09-01 | 15,000円 |
E | E01 | 2026-09-30 | 5,000円 |
B02は購入額8,000円から一部返品2,000円を引いた金額とします。D01はF・Mの期間外ですが、全履歴からRを計算するために保持しています。
顧客 | R(日) | F(件) | M(円) | 読み取り |
|---|---|---|---|---|
A | 5 | 3 | 25,000 | 最近も複数回購入 |
B | 60 | 2 | 18,000 | 直近2か月は購入なし |
C | 120 | 1 | 30,000 | 高額な単発購入 |
D | 395 | 0 | 0 | 今回期間内の購入なし |
E | 1 | 1 | 5,000 | 初回購入直後 |
AのMは10,000+8,000+7,000=25,000円です。CはMが高くても頻度は1回、Eも頻度は1回ですが購入直後です。同じFだけで同じ施策を送らないようにします。
スコアを付ける例と同点処理
期間内に購入がある顧客には、次の3段階を使うとします。Dは休眠候補として別枠に置き、合成スコアを付けません。
点数 | R | F | M |
|---|---|---|---|
3 | 30日以内 | 3件以上 | 20,000円以上 |
2 | 31〜90日 | 2件 | 10,000〜19,999円 |
1 | 91日以上 | 1件 | 10,000円未満 |
結果はA=333、B=222、C=113、E=311です。これは3つの点数を並べたラベルで、333が113の約3倍の価値を持つという意味ではありません。同じ値には同じ点数を付けます。顧客数を均等に分ける分位法を使う場合も、同点を無理に分割するかどうかを決め、人数が偏る可能性を明示します。
初回購入者は継続顧客と観察期間が違います。Eを「低頻度だから離反しそう」と決めつけず、新規顧客として別に観察します。耐久財、定期購買、法人契約でも適切な期間は異なります。
分析を施策へつなぐ
対象の例 | 仮説 | 施策候補 | 確認する指標 |
|---|---|---|---|
A型 | 継続利用の価値がある | 利用上の困りごとを解消 | 継続、粗利益、苦情 |
B型 | 次の購入機会が近い可能性 | 購入周期に合う案内 | 再購入、配信停止 |
C型 | 単発需要か長い購入周期 | 購入目的を確認 | 回答、次の検討時期 |
D型 | 休眠または需要終了 | 許可された接点で理由確認 | 復帰、反応、解除 |
E型 | 初回利用の支援が必要 | 使い方の案内 | 初期利用、再購入 |
分類だけで一律の値引きを行わず、対象条件、配信許可、担当者、確認日、停止条件を決めます。可能なら比較群を設け、季節性や既存キャンペーンを考慮してください。
公開前・運用前のチェック
注文IDの重複、顧客ID統合、返品の反映、期間境界とタイムゾーンを確認します。未購入者はRが定義できないため、0日として最優良群に入れません。期間内の注文だけで顧客一覧を作るとDのような休眠顧客が消える点にも注意が必要です。
RFMのMは売上の要約であり、利益やLTVではありません。値引き・対応費用・商品粗利益、顧客の声を追加して判断します。毎月同じ定義で更新し、分類がどう変わったかと、施策後に何が起きたかを別々に記録することが、実務で使える分析につながります。
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