ブログ一覧へ戻る

STPマーケティングの進め方|市場選定から施策へつなぐ記入例

与謝秀作

STPマーケティングとは?3ステップの進め方と事例

STPマーケティングは、市場を分けるS、狙う対象を選ぶT、顧客にどう位置づけてもらうかを決めるPをつなぐ考え方です。用語を埋めるだけでは施策になりません。顧客について何が分かっていて、なぜその対象を選び、何を約束できるのかを一続きにします。

STPで決めることと、一枚にまとめる成果物

最初に作るのは、詳しい人物設定や競合の散布図ではなく、対象と提供価値を説明できるシートです。以下は作業の整理であり、必ずこの順序で一度だけ決めるものではありません。提供能力を調べてから区分を見直すこともあります。

段階

答える問い

残す成果物

S:区分

課題や選択条件はどう違うか

分類軸・対象範囲・根拠

T:選択

どの対象なら価値を届けられるか

選定理由・選ばない理由

P:位置づけ

何を理由に選んでもらうか

約束する価値・競合差・証拠

対象の年齢や肩書を詳しく書いても、購入の課題に関係しなければ判断材料は増えません。まずは選択が変わる条件を調べます。

準備:事実と仮説を分けて顧客を理解する

顧客への聞き取り、問い合わせ、購買の条件、利用の記録から、何を解決するために選ばれているかを集めます。「よく閲覧される」は観測事実ですが、「その機能を強く求めている」はまだ仮説です。検討だけで購入しなかった人の理由も確認しましょう。

以降は、月次報告を支援する架空のB2Bサービスを例にします。調査で確認するのは、報告頻度、作業担当、現在の手段、承認の流れ、導入権限です。若い担当者だから新しいツールを好む、といった想像で代用しません。

S:施策の違いにつながる軸で分ける

架空例では、顧客を「毎月同じ項目を手作業でまとめる」「案件ごとに内容が変わる」「すでに標準化できている」に分けます。前者には繰り返し作業、二番目には柔軟性、三番目には切り替え費用という異なる論点があります。区分によって提案が変わるなら、分類する意味があります。

分類を細かくしすぎると、対象が少なくなり別の施策を維持できません。到達できるか、違いを説明できるか、実行できるか、規模を見積もれるかを点検します。評価条件の考え方はOpenStaxの市場区分に関する説明でも整理されています。

T:魅力度と提供能力を比べて選ぶ

規模の大きさだけで対象を選ばず、課題の切実さ、接点、提供費用、必要な支援を比べます。架空例では、小規模チームの定型的な月次報告に対象を絞ります。複雑な連結報告が必要な企業は、現段階の提供能力に合わないため見送る、という判断です。

候補

課題・条件

判断と追加確認

定型報告の小規模チーム

反復作業、担当が少ない

候補。権限と移行負担を調査

案件ごとに報告が変わる組織

書式の自由度が必要

対応費用を確認するまで保留

複雑な連結報告が必要な企業

厳密な統制・多数の連携

現在の提供範囲では選ばない

この表は実在市場の評価ではありません。選ばない理由まで書くことで、営業・制作が別々の顧客を想定するのを防ぎます。選択方式については対象市場の選び方も参照できます。

P:価値と証拠を一文にする

「高品質で便利」では違いが伝わりません。「定型報告を毎月まとめる少人数チームへ、確認の手戻りを減らす報告手順を提供する」のように、対象・課題・便益を結びます。その便益を提供できる理由も、試用時の記録や支援体制などで示します。

ポジショニング図に空白があっても、そこに需要や採算があるとは限りません。価格も選択条件の一つです。価格以外で戦うことをSTPの必須条件にはせず、ポジショニングの考え方を参考に、顧客の選択理由を確かめます。

4Pと小さな検証へつなぐ

架空例なら、提供内容は定型報告の試用、価格は支援範囲と対応費用を踏まえて設定、接点は対象へ届く説明会、訴求は報告作業の課題に合わせます。対象だけ絞り、誰にでも同じ広告を出す状態では整合しません。

  • 試用前後で同じ報告作業を比較し、作業時間だけでなく確認漏れや支援時間も記録する。
  • 購入しなかった理由、必要な機能、導入権限の不足を集める。
  • 確認期限と見直し条件を決め、対象・価値・提供方法のどこを変えるか判断する。

分類と選択を詳しく整理するならセグメンテーションとターゲティングの違い、店舗とオンラインをまたぐ応用ならSTPをOMO施策へつなぐ設計例、個別の関係づくりならOne to Oneマーケティングへ進むと、作業の目的を分けられます。

ブログ一覧へ戻る