タイムマネジメントとは?「時間が足りないチーム」を立て直す5ステップ
「人が足りない」と言われて増員しても、3ヶ月後にまた同じ声が上がる。原因が人数ではなく、時間の使われ方にあるケースは少なくありません。タイムマネジメントは個人の工夫として語られがちですが、チーム単位で見ると打ち手はまったく別のものになります。この記事では、「時間が足りない」を四つの症状に切り分け、チームを立て直す5つのステップを解説します。
タイムマネジメントとは|時間ではなく、何に使うかを管理する
時間そのものは管理できません。1日は誰にとっても24時間で、増やすことも圧縮することもできません。管理できるのは、その時間を何に使うかという配分だけです。
だからタイムマネジメントの実務は、速く働く方法を探すことではなく、やらないことを決める作業になります。個人でもチームでも、この構造は変わりません。違うのは決められる範囲です。個人が決められるのは自分の手元の順序だけですが、チームなら会議の数、引き受ける案件の量、承認の経路まで変えられます。回収できる時間が大きいのは後者です。
「メンバーの時間の使い方が下手だ」という認識から入ると、研修や意識づけに向かい、たいてい失敗します。個人の技術で回収できる時間は、構造で失われている時間に比べてはるかに小さいからです。
「時間が足りない」は4つの別々の症状
同じ言葉で語られますが、原因は4つに分かれます。どれなのかを特定しないまま手を打つと、効かない対策に時間を使うことになります。
1. 総量が多すぎる
引き受けた仕事の量が、処理能力を超えている状態です。この場合、どれだけ効率化しても解決しません。減らすか、人を増やすかのどちらかです。
2. 時間が分断されている
総量は足りているのに、まとまった時間がない状態です。会議と会議の間隔が30分ずつしかなく、集中を要する作業に着手できない。稼働時間は埋まっているのに成果物が出ないという典型がこれです。
3. 待ちが多い
自分の手は空いているのに、確認待ちや承認待ちで進められない。稼働率としては低いのに納期は迫る、という状態になります。本人たちは忙しいと感じているので、外からは見分けにくい症状です。
4. やり直しが多い
一度作ったものを作り直している状態です。見た目は総量過多と同じですが、原因は上流にあります。要件が固まる前に着手している、確認のタイミングが遅いといった、進め方の問題です。
実務では複数が同時に起きています。ただし比率は必ず偏っているので、最も大きいものから潰します。
チームを立て直す5ステップ
STEP1:1週間、実際の使われ方を測る
感覚で議論しないでください。「忙しい」の中身は人によって違うため、話し合っても結論が出ません。1週間だけ、全員に時間の使い先を記録してもらいます。
分類は4つで十分です。作業、会議、割り込み対応、待ち。案件別の細かい記録は不要で、この4分類の比率だけが分かれば十分です。1日の終わりに30秒で書ける形にします。案件別の工数を取る方法は工数管理にまとめていますが、ここでの目的は見積もり精度ではなく配分の把握なので、粒度はもっと粗くて構いません。
1週間分が集まると、たいてい予想と違う結果が出ます。会議が3割を超えていた、割り込みが2割あった、待ちが1割あった。この数字が、以降の議論の土台になります。
STEP2:会議と割り込みの量を確定させる
分断が主症状のチームでは、ここが最大の回収源です。順に見直します。
- 定例の棚卸し:目的を1行で書けない定例は止める。書けたとしても、参加者全員に必要かは別の問題です
- 参加者の絞り込み:情報共有だけが目的なら、議事録で足りる人は外す
- 時間の既定値を変える:60分を既定にしていると60分使います。既定を30分に変えるだけで総量が減ります
- 割り込みの受け口を決める:随時の問い合わせを、時間帯やチャネルで束ねる
会議を減らすには、参加者の合意が要ります。ただしSTEP1の数字があれば、「会議が稼働の3割を占めている」という事実から議論を始められます。感覚論にならないのが、測っておくことの効用です。
STEP3:引き受ける総量を絞る
総量過多が主症状なら、ここが本丸です。そして最も難しい部分でもあります。
現実的な手順は、まず進行中の案件を全部並べ、1人あたりの同時進行数を数えることです。3件を超えると切り替えのコストが跳ね上がり、5件を超えるとどれも進まなくなります。数えてみると、この状態になっているチームは少なくありません。
減らし方は2つです。着手を止めて順番待ちにするか、範囲を削るか。どちらも個人では判断できないので、チームとして決めます。何を先にやるかの決め方は優先順位のつけ方を参照してください。なお、断らずに全部抱えたまま「効率化で吸収する」という選択は、実質的に何も決めていないのと同じです。
STEP4:待ちと手戻りを構造的に減らす
この2つは個人の努力では減りません。仕組みを変える必要があります。
待ちへの対策:承認や確認のリードタイムを短くします。承認者を1人に絞る、承認の期限を決める、金額や範囲で承認不要のラインを引く。決まっていないことが原因で止まっているなら、課題として期限付きで管理します。
手戻りへの対策:確認を早く、回数を多くします。完成してから見せると、直しは全面的になります。3割の段階で方向性だけ確認すれば、直しは局所で済みます。後戻りできなくなる地点の手前に節目を置いて検査を集中させるのも有効です。
STEP5:まとまった時間を仕組みで確保する
ここまでで空いた時間は、放っておくと会議と割り込みで再び埋まります。空けたままにしておくための仕掛けが必要です。
- 会議を入れない時間帯を、チーム共通で決める(午前中は会議を置かない、など)
- 集中作業の予定を、他のメンバーから見える形で置く
- 週の初めに、その週に守る時間を宣言する
重要なのは、これをチーム共通のルールにすることです。個人がそれぞれ工夫しても、他のメンバーが会議を入れてくれば意味がありません。個人側の運用についてはタスク管理が上手い人の共通点にまとめています。
やってはいけない立て直し方
- 個人の努力に帰す:構造で失われている時間は、意識では戻りません。研修を入れる前に、会議の数を数えてください
- 全員一律のルールにする:職種によって必要な時間の形は違います。問い合わせ対応が仕事の人と、集中が成果を決める人に同じルールを課すと、どちらかが機能しなくなります
- ツール導入から始める:何に時間が使われているか分からないまま導入すると、入力作業が増えるだけで終わります
立て直した状態を維持する
一度整理しても、半年で元に戻ります。会議は増える方向にしか動きませんし、案件も自然には減りません。四半期に一度、STEP1の測定だけを繰り返してください。1週間の記録で、比率が戻っていないかを確認できます。
マネージャー側の視点でチーム運営全体を設計する話はチーム管理とは?にまとめています。また、施策が複数並行して予算や成果と紐づいてくると、時間の配分を施策単位で見直す必要が出てきます。Xtrategyでは、施策のスケジュールと予算・KPIを同一画面で管理し、どこに資源を寄せるべきかを横断して確認できます。施策単位の管理についてはマーケティングキャンペーン管理テンプレートも併せてご覧ください。
まとめ
- 管理できるのは時間ではなく配分。やらないことを決める作業であり、チームのほうが決められる範囲が広い
- 「時間が足りない」は4つの症状に分かれる。総量過多、分断、待ち、やり直し
- 最初にやるのは測定。1週間、作業・会議・割り込み・待ちの4分類で比率を出す
- 1人あたりの同時進行数は3件まで。5件を超えるとどれも進まない
- 待ちと手戻りは個人の努力では減らない。承認経路と確認タイミングを変える
- 空けた時間は放置すると再び埋まる。チーム共通のルールで守る
チームのタイムマネジメントは、一人ひとりを速くする取り組みではありません。時間がどこで消えているかを見つけて、その穴を塞ぐ作業です。まずは1週間、測るところから始めてみてください。