CPA・CPO・CACの違いと計算方法|原価から許容単価を考える

CPAは定義した成果1件あたり、CPOは注文1件あたり、CACは新規顧客1人・1社あたりの獲得費用です。数字を比較する前に、何を1件と数え、どの費用を含めるかを固定します。問い合わせCPAを、顧客単位のLTVとそのまま比べてはいけません。
原価計算の目的は、広告管理画面の数値を否定することではありません。媒体内の運用判断と、制作費・人件費を含む事業判断の両方を、同じデータから説明できるようにすることです。以下の金額・件数はすべて架空の計算例です。
CPA・CPO・CACの違い
指標 | 分母 | 分子として使う費用 | 先に決めること |
|---|---|---|---|
CPA | 問い合わせ、申込、購入など、指定した成果件数 | 媒体費、または社内で定義した施策費 | 成果名と重複・無効データの扱い |
CPO | 注文件数 | 注文獲得に対応する費用 | 新規・リピート注文、取消の範囲 |
CAC | 新規顧客数・新規契約企業数 | 対応するマーケティング・営業の獲得費用 | 顧客ID、費用範囲、獲得期間 |
Google広告の平均CPAは、広告のコンバージョン費用を件数で割る指標です。問い合わせを計測していれば、それは顧客獲得単価ではなく問い合わせのCPAです。購入を成果にすればCPAとCPOが一致する場合もあります。CPOだから必ず営業費を含む、といった固定的な費用範囲はありません。
同じファネルで計算する
ある獲得施策で、有効な問い合わせ150件から30商談、6注文が発生し、新規顧客は5社だったとします。6注文のうち1件は同じ顧客の追加注文です。対応する費用を次のように集計します。
費目 | 金額 | 集計ルール |
|---|---|---|
広告出稿 | 2,000,000円 | 当該施策の請求額 |
制作費の管理会計上の期間負担 | 100,000円 | 対象期間に対応させた額 |
ツール利用料 | 50,000円 | 利用量に応じた配賦 |
運用担当者の工数原価 | 300,000円 | 記録時間×社内単価 |
代理店運用費 | 400,000円 | 広告費と重複させない |
マーケティング費合計 | 2,850,000円 | 上記5項目の合計 |
ナーチャリング・営業費 | 1,500,000円 | 今回の顧客獲得に対応する費用 |
獲得費用合計 | 4,350,000円 | 全費用を一度だけ集計 |
媒体費ベースの問い合わせCPAは2,000,000÷150=約13,333円、マーケティング費ベースでは2,850,000÷150=19,000円です。獲得費用全体を使うCPOは4,350,000÷6=725,000円、CACは4,350,000÷5=870,000円になります。これらは別の問いへの答えであり、一番大きい数字だけが正しいわけではありません。
この例では追加注文の獲得作業も新規顧客獲得活動に含まれると仮定しています。既存顧客への独立した営業活動が混ざる場合は、その費用を切り分けてCACを計算してください。また、今月の広告費で来月以降に受注する事業では、月次費用÷今月の受注数に時間差があります。獲得月ごとの顧客群と、十分な受注観測期間を併用します。
許容CPAはリードと受注の単位を合わせる
受注単価200万円、提供原価を引いた粗利益率50%、リードから受注への転換率5%、受注した案件だけに発生する営業費10万円と仮定します。その他費用・留保利益を引く前の許容リード単価は、(200万円×50%−10万円)×5%=45,000円です。
受注1件の営業費10万円を、リード1件の期待粗利益5万円から直接引くと単位が合いません。リード段階の対応費が1件3,000円、確保したい利益が受注1件20万円なら、(100万円−10万円−20万円)×5%−3,000円=32,000円です。費用が全リードに発生するのか、商談だけか、受注だけかを分けます。
受注率の仮定 | その他費用・留保利益控除前の許容リード単価 |
|---|---|
3% | 27,000円 |
5% | 45,000円 |
8% | 72,000円 |
受注率は将来の保証ではありません。成熟した同種リードの実績を使い、低めのケースでも資金繰りが成立するか確認します。広告管理画面の目標CPAへ、そのまま上限額を設定するのではなく、無効リード率と媒体上の成果定義の差も調整してください。
配賦と売上帰属を混同しない
特定キャンペーン専用の外注費は直接費、複数施策で使うツール費は間接費として扱う、といったルールを決めます。社員の人件費も、専任・作業記録があれば直接把握できるため、常に間接費とは限りません。配賦基準は工数、利用件数など費用の発生に近いものを選び、総額が元帳と一致するか確認します。
一方、アトリビューションは成果をどの接点に帰属させるかのルールです。売上の配分を変えても、請求された広告費の発生元まで変える必要はありません。帰属売上は施策がなければ失われた増分売上とも異なります。増額判断では追加予算で得られる成果と、停止しても残る共通費を分けて考えます。
月次レビューで確認すること
- 成果名、顧客ID、注文ID、取消・テスト・重複の除外条件を記録する。
- 費用は税の扱いと期間をそろえ、代理店請求と媒体請求を二重に入れない。
- 制作費の期間配分は社内分析のルールとして明示し、財務会計の資産計上と混同しない。
- 顧客単位の粗利益LTVとCACを比較し、獲得費をLTV側ですでに引いているなら再控除しない。
- LTV/CACの比率だけでなく回収期間、共通費、維持費、予測の不確実性を確認する。
最初は主要施策1つで、媒体費CPAと費用範囲を広げた獲得原価を並べてください。差額を説明できれば、次に改善すべきなのが広告、営業歩留まり、制作工数のどこなのかを議論できます。
次に読む実務ガイド
- マーケティング管理会計|施策別P/Lと損益分岐点の作り方
- 配賦とは?計算方法・配賦基準・施策別の使い方
- LTVの計算方法|売上・粗利益の違いと計算シート
- LTV計算式|SaaS・EC・B2B別の前提と算出例
施策と予算を継続して管理する
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